アニメで見たようなラブコメが俺にもあるのだろうか?

イロハ

第1話 俺の高校生活スタート

 俺の枕元で鳴り続けている電子音を止め、まだ起きてない目を擦りながら、階段を降りていく。俺、柊凌ひいらぎりょうは今日高校生になる。

「おはよう、お兄ちゃん。」

リビングに入ると、いつも元気な妹、柊初寧ひいらぎはつねが挨拶をしてくれる。

初寧は俺の父が離婚して、新しい妻と結婚したところの娘だった。だから、俺とは血は繋がっていない。また、俺が唯一話せる女の子でもある。初寧が作ってくれた朝食を食べ、高校に行く支度をする。身体が大きくなることを期待した制服が思いのほか大きく感じる。俺は洗面所の前に行き、寝ぼけた頭を濡らし、ドライヤーで整える。入学初日の印象は大切だ。こんなもんでいいかなぁ。

「お兄ちゃん、もうそろそろ時間だよ。」

「うわ、やべぇもうこんな時間じゃん。」

俺は鞄を背負い、急いで玄関を後にする。去り際に初寧からの行ってらっしゃいの声が聞こえたような気がするが時間がない。

 俺の行く高校は家から徒歩で約30分ぐらいかかる位置にある。息を切らしながらも、学校前の大道路を走る。学校が見えてきた。危ない!俺は飛び出してきたドラ猫とぶつかった。猫は逃げ出していった。怪我をしなくて良かったと思いながら、ラブコメでの食パンを咥えた女子高校生とぶつかる定番ネタがあるのかと期待をしてしまった。

 俺は学校に着き、内履きを履いて、俺のクラスである1年2組に行く。俺は高校を機に元の中学校から離れたところに来たため、友達が少ない。話せる相手もいないので入学式が始まるまで机で静かに待っていよう。

「新入生代表、1年2組赤坂凛 あかさかりん。」

「はい。」

顔立ちが整った美少女が歩き出し、登壇へと上がる。

「暖かい春の日差しに包まれ...」

大きな拍手と共に俺たち新入生は教室へと戻る。最初のHRが始まる。俺のクラス1年2組の担任が黒板に自分の名前を書いて自己紹介をする。

「私は綾瀬恭子あやせきょうこだ。年齢は今年で24歳になる。担当教科は理科だ。みなさんよろしく。」

先生はピクリとも眉を動かさずに挨拶をした。他のみんなはよろしくと先生と溶け込もうとしている。俺は恥ずかしいのでやめておく。

「じゃあ今からみんなに自己紹介をしてもらおう。出席番号1番からでいいだろう。」

「はい、僕の名前は秋山裕太あきやまゆうたです。中学生の時の部活はバレーボール部でした。よろしくお願いします。」

パラパラと拍手が広がる。

「はい、次。」

「えぇ、私は赤坂凛あかさかりんです。中学校時代は部活には入っておらず、生徒会長でした。よろしくお願いします。」

やばい、やばいぞ。俺は苗字が柊で出番が来るのはまだ先だが、何も考えていない。中学校時代、アニメ同好会に入り、趣味はアニメ鑑賞の俺は何を話せばいいんだ。普通の人間には興味ありませんとか、我はダークフレイムマスターとか言えばいいのか?どうする。

「はい、次」

「あぁ、はい。俺の名前は柊凌ひいらぎりょう。えぇと特に好きなことはありません。よろしくお願いします。」

  HRが終わり各自で帰宅することになった。入学早々、友達を作りたいところだが怖いので今日は帰ることにする。

「ちょっと待って、あなた少し時間いい?」

そこには入学式の新入生代表をしていた赤坂さんがいた。今日は帰って、録画した今期のラブコメアニメを見ようと思っていたが、久しぶりの女の子に興奮して、そんなことも忘れてついて行った。

「あなた入部する部活は決めているの?」

「いや、特に決めていないけど。」

「あなたの自己紹介を見るあたり、特徴が無さそうな人だと思い、提案があるの。」

「提案?」

「私とあなたで新しい部活を作りましょう。」

「え?」

「本気よ。詳しい事は後日伝えるから、連絡先を教えてくれない?」

「わかった、はい。」

「どうも。」

俺は初寧以外の女の子との連絡先交換に歓喜した。これ、ワンチャンあるんじゃないかと思い、明日を楽しみにしながら帰宅する。






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