第9話

「さて、と。この書類も終わり。先輩、全部終わりましたよ」


 いつも通りの放課後、僕は生徒会に居た。


「分かった。そこに置いといてくれ」


 僕は先輩に書類を渡した後、席に着く。


「それにしても寒くなってきましたねぇ」


「ふふ、そうだな。明日は大雪になるらしい」


「え、マジですか……」


 雪かき嫌だなぁ……。僕の家は一軒家かつ、叔父さんも偶に様子を見に来る程度だから、完全に自分で雪かきをしなければいけない。……雪なんて降らなければいいのに。


「そういえば色々と持ち込んでいるのにバレたり𠮟られたりしないんですね」


 僕は今更ながら部屋にあるポットや、クッキー等の菓子を見る。


「ん? ああ。そもそも、ウチの教師共は事なかれ主義の日和見大好きな連中だ。そんな面倒な事はしないし、第一そんな気概があるなら生徒会に私と君しか居ないなんて事にはなっていない。私達にストライキ起こされても困るだろうしな。」


「あ、あははは……」


「更に言うと、私達はたった二人でこんなに頑張っているんだ。少しくらい何か持ち込んでも罰は当たるまい?」


「それもそうですね」


 それにしても……。


「先輩、最初会った時はどうかなと思ったんですけどやっぱり話易いですよね。何だかんだで優しいですし」


「や、藪から棒になんだ!? 急に!!」


 先輩は赤面しながらアタフタする。あ、紅茶こぼしかけた。


「や、先輩最初は言い方キツい上捻くれてるなーとか思ってたし、喋り方もボソボソって感じで大丈夫かなーって思ってたんですけど。いや、なんとなく悪い人ではないんだろうなーとは感じてたんですよ!?」


「ぐ、ぐふっ」


 あ、先輩がうめき声を上げて撃沈する。


「け、けどアレですよ! 先輩の忠告って身になるし、相手の事考えて言ってくれてるんだろうなーっての分かるし、今は喋り方もそんな事ないですし!? というか他の人にも僕と同じようにすればいいと思いますよ? 先輩のその堂々とした感じ好きですし」


「ふ、ふふふ……。い、良いんだ、別に。私だって自分の欠点くらい分かっているつもりなんだから」


 先輩は胸を抑えながら起き上がった。


「……最初にも言ったのだが覚えているだろうか? そもそも私は空気を読むとか、他人を気遣うとかが苦手なんだ。無駄なお節介をしてしまって煙たがられてしまう……それに」


「それに?」


「どうにも人に拒絶されるのにも慣れ過ぎて関わろうとも思わないし、まともに喋れるのは物好きな君くらいさ」


「そう、なんですね……。けど、先輩は良い人です。それは僕が保証します。それこそ、なんで先輩の周りに人が居ないのか分からないくらい。だから、先輩も自信持って下さい!」


「ありがとう。君にそう言ってもらえると嬉しいよ」


 そう言って、先輩は微笑んだ。







「ぬあー。また負けたぁ」


 生徒会での作業も終わり、僕は家の自分の部屋でのんびりしていた。


 それにしても、この世界ラスハなんだよな……。ダンジョンや冒険者の存在。そして、文献に残る伝説の数々、それが証明してくれている。そんな要素今の所僕の日常には一個もないけれど。


 ボコボコにされて嫌になりオンラインの対戦ゲームを切った後、地上波に戻すとダンジョンで見つかった有名な異物ランキングがやっていた。


『えー、この魔剣ダインスレイヴはダンジョンにて発見されて以降数々の人の手に渡り、その数だけ不幸を生み出してきました。この剣は1300年代に……』


 後、この世界で生きて分かったことだがやはり、現実とゲームでは違う。当たり前と言えば当たり前なんだろうけど、今のダインスレイヴもそうだけどゲーム内では無かった武器や防具がコッチではあったりする。

 その他にも、ゲーム内では語られていなかったサクリファイス教団が起こしたテロや事件等があったり、兎に角知ってる気だったのはごく一部だったんだなと思い知らさせれた。


 原作に関わらないにしても、危機回避する為に色々と調べないとだよなぁ……。後、なんだかんだ将来冒険者になる時には強めの装備が欲しいし。


 そんな時、不意に家のインターホンが鳴った。


「郵便かな」


 僕は、テレビを消して下の階のインターホンを覗く。


「アレ、叔父さんじゃん」


 僕がインターホンを覗いた先、そこに居たのはトレンチコートにソフト帽の胡散臭い格好をして、いつもニヒルな怪しい笑みを浮かべている現在の僕の監督責任者、神宮寺業平じんぐうじなりひら叔父さんだった。


「はーい、今開けまーす」


 こんな時間にどうしたんだろうか、それに叔父さんが来ることも珍しい。


「やあ末広君、こんばんは。それと久しぶり、元気だったかな」


「え、はい。こんばんは、業平叔父さん。今日は急にどうしたんですか?」


「いや、なに。俺も一応監督責任者だからね、気が向いたんで様子を見に来ただけさ」


「そうだったんですね、家上がります? もう直ぐ晩御飯にしようと思ったんですけど」


「お、いいねぇ。丁度お腹が空いてたんだ、今日のメニューはなんだい?」


「今日のメニューですか? シチューですね。もう作ってあるんで、リビングでテレビでも見て待ってて下さい」


 そう言って叔父さんを上げ晩御飯を食べている時、不意に叔父さんが質問して来た。


「末広君、どうだい? 最近の学校は」


「そうですね……可もなく不可もなく。いつも通りって感じです」


 まぁ実際『多少』面倒はあるけど、そこまでじゃない。


「ははは、平和が一番だからね。けど、なにかあったら相談してくれよ?」


 僕が答えると、叔父さんは微笑みながらも何となく真面目に言う。


 そうして晩御飯を食べ終わり帰る叔父さんを見送り、その後多少ゲームをしていつも通りの僕の一日が終わった。




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 土日の予定が吹っ飛んだので土日もフリーになりました。FGOの奏章Ⅱをクリアしてたら気が付いたら一日終わってた件。



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