第8話

 すいません、7話のあとがきにも書いたんですけど過去回なのに凛子の名字がまさかの両親離婚後の名字になってた事に気が付いて修正しました。離婚前が『高田』で離婚後(現在)が『鈴木』です。ホント疲れてると碌でもないミスが……。

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 生徒会に入ってから暫経った。僕は今、自分の分の書類を書き上げて後片付けをしている。


「有馬君、紅茶を淹れてくれないか?」


「はい」


 最初は二人で生徒会なんて回るのか? とか、そもそも僕に生徒会の仕事が出来るのかとか不安だったが、高田先輩は凄かった。

 書類の山が出来るような事があっても一日で片付けてしまったり、何かあっても先生方に上手い事根回しして調整して解決してしまう。因みに僕が回される仕事は僕の無理しないでも出来そうなラインを、丁度見極めて渡されるのだから本当に凄い。

 そんなに仕事が出来るのだから、上手い事やって人を入れれば良かったのにと聞いたところ、簡潔に『一人で充分だからな、色々と癪だし』との事だった。


「随分と今日は眠そうだったな」


「ははは、昨日やってたゲームが面白かったんですよね。名作ゲームのリメイクで……。それで気が付いたら朝になってまして」


「全く……夜更かしもほどほどにな」


「そういえば、先輩ってゲームとかってするんですか?」


「ん? 余りしないな」


「……なんとなく思ってたんですけど、先輩っていいとこのお嬢様だったりします?」


「……まぁ、そうとも言えるかもな。だが私には腹違いの兄が居るから、家を継ぐわけではない」


「そう……なんですね」


 ……なんか地雷踏んじゃったかな。


 なんとなく僕は気まずくなって黙ってしまったが、先輩は微笑んだ。


「ふふ、気にしなくてもいいさ。よし、これで終わりだ」


 逆に気を使われちゃったな。そう思いながら、今日分の書類仕事が終わり背伸びをする高田先輩を見て僕は苦笑する。


「それにしても、君はおかしな奴だな。律儀に毎日来ることもなかろうに」


「どうせ放課後、なにもやる事ないですからね……。それに結構僕、この場所気に入ってるんですよ」


 最初は先輩だからと遠慮していたし口が悪いから少し委縮していたが、初めて会った時に感じた通り根は良い人なのである。

 小学校時代は海外に行ってから上手く身体の主導権を握ったせいで、雰囲気が変わった僕に皆少し引き気味な上にコミュ障も相俟って壊滅しちゃったし、中学校入ってからもコミュ障引きずっていたせいでマトモに話せる相手が居ない事を相談すると、話相手になってくれたのだ。何気にこれまでの人生で初、僕自身が独力で手に入れた話相手である。

 そうして先輩相手に話していたお陰か、クラスでも多少話せるようになっていた。相変わらず友達は出来ない……というか時期を逃しちゃったんだけど。

 だから、先輩と過ごすこの生徒会室での時間を僕は気に入っていた。


「やっぱり君はおかしな奴だよ」


 そうボソッと呟きながら、先輩は淹れたばかりの紅茶の入ったカップを傾ける。


 ……見た目はアレなのに、妙に様になるな。





「うーん……どれ買おうかな」


 放課後、僕は本屋に来てラノベの新刊を買いあさっていた。この世界では何故か前世にもあった作品がある一方、前世の世界には無かった面白い作品も沢山ある。要するに前世のノリで買ってたら、途轍もなく出費が嵩むので前世以上に吟味を重ねなければいけない。


「これも良いな……。けど、これも……」


 そうやって悩んでいた、そんな時だった。唐突に誰かをバカにするような、それでいて威圧するような不愉快な声が聞こえた。


「なぁ、お前。そこのオタク野郎」


「……」


「おい、無視してんじゃねえぞ。テメエ」


「……なんですか」


 僕が振り返るとそこには、金髪で明らかにガラの悪そうな女子生徒を中心に如何にも不良って感じの集団がそこに居た。


 ……これがカツアゲってやつかなぁ。前世でも合ったことなかったんだけどなぁ。


「お前だろ。あのクソ眼鏡の生徒会に入ったって言うものアホは」


 如何やらカツアゲではないらしい。


「……いきなりのご挨拶ですね、誰ですか?」


「あぁ? 舐めてんのか、お前」


「おいおいおい、俺達先輩だぜ? 口の利き方なってねーんじゃねーの?」


 中学のセンパイを語る人物達は僕を睨みつける。


「すいませんね、貴方達が誰かすらも知らなかったもので。で、御用はなんですか? センパイ」


 中学二年生にしては顔老け過ぎて、ウチの制服着たコスプレ集団かと思ったわ。四六時中そんな可愛げの無い顔ばっかりしてるから皺になって、老け顔になってるんじゃないのか? いや、口には出さないけど。


「お前、あのキショい眼鏡のアマの生徒会に入ってるんだろ。アタシらの言う事聞けば嫌な思いせずに毎日送らせてやんよ」


「……言う事とは?」


 僕がそう聞くと、そのセンパイ……いや、ソイツは不愉快な笑みで答える。まだ中学生のハズなのに随分と邪悪な顔するんだな……。もうその手の顔をする輩はうんざりなんだけど。


「そうだなぁ、手始めにあのアマの机に虫の死骸でも入れてこい」


「お断りします」


 あの人は良い人だ。確かに多少口は悪いし捻くれてるけど、僕の話相手にもなってくれた。何故、僕が高田先輩にそんな事をしなければならない。それに、そんな事がしたくてに居るんじゃない。


「チッ、コイツ舐めてんだろ」


「おい、そういう態度取ってると後悔するぞオタク野郎」


「……まぁ、ここは普通に考えて貴方達にヘコヘコ愛想笑いしてた方が良いんでしょうね。けど、お断りします」


「本当にいいのかなー? あんな奴より、ウチらと仲良くした方が良いと思うけど」


「申し訳ないですけど僕は貴方がたなんかより、高田先輩と仲良くした方が楽しいので。それじゃあ」


 そうして、僕は刺すような視線を受けながら本屋を後にした。


 ……結局ラノベ買えなかったよ。


 



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 マブラヴまたプレイし直すかなぁ……。けどエクストラから先に行ける気しないな……。オルタナティブとか心が持たないっス。

 

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