時操の道化師は異世界を席巻する
渦川間 ヤトナ
異界の森にて
0.異世界への扉
一体いつからこんなことになってしまったのだろう?絶望はどこまで続くのか?自分の選択は間違っていたのだろうか?
自分の感情すらもわからない。
しかし、ずっと同じ過ちを繰り返している気がする……気がするだけだと自分に言い聞かせ、前に進む。
どんなに犠牲を払おうと、どんなに世界を荒らそうと、全てはその先のために……
下をみれば、無惨に殺された死体の山。周りを見れば、滅びゆく国々。上をみれば、真っ暗な空。
大切な人達は皆殺されて死んだ。殺されて、死んで、殺されて、死んで、殺されて、殺されて、殺されて………だから、殺した。
殺して、殺して、殺して、殺して、全てを殺す。
全て自分が犯した罪……人間の域を超えて、もう自分が人間ではない、人殺しの化け物だということはわかってる。
罪のない人々を、子供も、女も、老人も、全て殺してしまった。
それでも先に進まなきゃ、その全てが無駄になってしまう。
罪なき人々を殺した感触は、ずっと手に残っている。まるで生暖かい血が両手の器に溜まっているかのように。
その感触は幻覚を見せ、本当に両手に血が溢れんばかりに溜まっているかのように見える。
手から溢れゆく幻覚の血は、足元を汚した。
足元には血の海……否、もう血は存在しない。山のような死体ももう存在しない。
滅びゆく国々も、真っ暗な空も消えていく。
全てが消えていった。元から何もなかったかのように。
世界は消滅したのだ……自分の選択によって。
残ったのは自分と、自分が立つこの空間に禍々しい門の閉じた扉。そして、その後ろに立つ炎の剣を構えた男だけ。
「ずいぶんと人を殺した。もう生きるつもりはない。ひとおもいにやってくれ。」
これで、ようやく全てを…………
閉じた扉に触れ、目をそっと閉じると、その後はどうなったかわからない。
もう何もわからない。
何が正しかったのか、何が間違っていたのか、何も……何も何も、わからない。
ただ一つ、自分のした選択がたとえ間違っていたとしても、「後悔」はしない。
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