株式会社ひしもちはマフィアだったようで。

虎ラムネ

第1話 ダメダメな「僕」

またダメだった。僕、藍沢羅維は溜息をつきながら大通りを寂しく歩く。どうも使えないやつだったらしく、コンビニバイトの面接でさえ落とされた。僕は今年で19になる。そろそろちゃんとバイトに就いてお金を貯め始めなければいけないのだが、得意科目が理科しかない僕には何も出来なかった。そんな時、美味しい話が見えた。チラシだ。そのチラシには、「最短当日!理科が得意な人募集中!」と書いてある。理科は得意だ。学校で博士と呼ばれるレベルには。チラシをもらい、住所と電話番号、Webサイトを確認すると、有名な和菓子メーカーひしもちが出てきた。ひしもちと言えば昔を残して取り入れるをモットーに、昔懐かしい、それでもどこか新しい和菓子を提供している最強和菓子屋じゃないか。なんで理科なのかは分からないが、当たって砕けろ精神で僕は面接を応募した。面接は明日の朝11時。そこまで遠くないのでゆっくり寝られてある意味ラッキーである。住んでるおんぼろアパートの扉を開けると、布団にダイブする。相当疲れていたのだろう。すぐに夢の奥深くにいたようだった。



夢を見た。少し昔の夢。悪夢で、僕のトラウマである××の夢だ。でも、何かが違う。何が違う?どれ?何?おかしいな、僕は××される側なのに・・・



























目が覚めたのは朝の6時。これ以上寝ても、あの夢を見るだけ。僕は歯を磨いて適当に服を引っ張り出すといつもよりもだいぶ早い散歩を始めた。美しい朝焼けと冷たい空気と幾何学的に並ぶビル群を眺めながら、伸びをする。気がつくと7時になっていた。そろそろ家に帰って着替えて朝ごはんを食べようと思い、コンビニで買ったパンを頬張りながら、家に帰った。スーツに着替えて30分ほど動画を見て家を出る。カフェに入って時間を潰していると、あっという間に10時半。ちょうどいい。面接に行こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る