詩 「そこにいる天使」
@aono-haiji
第1話 詩 「そこにいる天使」
いま窓の外で風にゆれている
羽根のはえたウサギ
いつのまに来ていたのか
いい かまわないで
目のふちを拭いたのは涙じゃない
昨日からいなくなっていたあなたが
思いのほか優しい目をして戻ってきたから
すこし とまどっているの
自分が自分でなくてもいい時がある
それでなきゃ わたしを離れて
わたしを支えるために走り回っている
あなたを
もういいよって 止めてあげられない
いま窓の外に帰ってきた あなた
うれしそうな顔を見せてるけど
胸の内は ぼろぼろだよ
手を伸ばして
約束の硬貨を受けとってあげる
爪がバキバキで 血なのかマニキュアなのか
ごめんね いまは
あなたにあげる言葉がない
なにかを捨てなきゃ
つぎの一歩は得られない
優しい瞳で見つめるあなたのために
わたしはあえて目を閉じてしまった
心は 何度死んだってかまわない
あなたは自分を守る天使
わたしは自分を捨てる悪魔
わたしにさよならと いっていいんだよ
だってね でもね
自分を捨てなきゃ得られない果実もあるんだ
この世界には
一度きりのいのち
わたしはそのために使う
あなたにふれようと伸ばしたこの指
自分を思いきりぶつけるためにつかわせて
わたしは
わたしの中の少年を捨てられない
もう一度生まれたら
きっと わたしは あなたになる
みんなの涙を拭いてあげられる
そんな天使になるから
詩 「そこにいる天使」 @aono-haiji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます