プロローグ

とても物静かな空間。空気さえも留まり何も見えない暗闇。


そんな暗黒の中で漆黒に溶ける様に黒い衣服を着た人物が、宙を指でなぞり幾何学模様を描いた。


空間に描かれそれはキラリキラリと幾つもの光の粒子となり弾ける。


それは七色に輝きを放ちながら指の動きにあわせて宙を舞う。


光は辺りを淡く照らし出し、その手の動きと共に渦を巻き激しくぶつかり合う。


その動作を何度か繰り返すとやがてその光は更に輝きを増していった。


そして、茶・黄・青・赤・緑・黄緑の六つの塊となると、小さな星の欠片達が出来上がる。


『……ふ』


出来上がったばかりの星の欠片達を見やると、その人物は優しく微笑む。


空間に浮かぶ星の欠片達はそれぞれの色に合わせて綺麗に光り輝き、まるでその笑みに反応しているかのようだった。


『っ?!』


不意に何所からともなく真っ黒な闇の渦が出現する。


そしてそれは次第に風をまとい出すと、徐々に辺りを飲み込み始めていった。


『!!』


瞬間。緑の欠片が黒い渦の中へと引き寄せられ吸い込まれていく。


『っ!』


その人は慌てて手を伸ばしそれを救出しようとした。


だがそれも空しく緑の欠片は渦の中へと飲み込まれ、遥か彼方へと消えて行ってしまう。


その後その欠片は異空間を漂い彷徨い続けながら緑の星となる。


そして流星に乗りある惑星へと落ちていくと、一つの生命体として生を受けるのだった。

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