ファッションコーディネーター
Grisly
ファッションコーディネーター
S氏は、ウキウキした気持ちで、
新しく購入したばかりの、
ちょっとクセのある、
トカゲの顔を模した帽子を被り、
颯爽と街へ出かけた。
通行人がバカにして笑う
「なんで爬虫類を頭につけてるんだ。
気持ち悪い。」
S氏、落ち着きはらい、
ポケットから、
証明書のようなものを取り出す。
「これを見ろ。
この帽子は、あの有名な、
ファッションコーディネーターL氏が、
今日の服装に合うと、
選んでくれたものだぞ。
プロをバカにするとは何事だ。
お前は、
ファッションを見る目がないのか。」
通行人、青ざめて、
「あのL氏のコーディネートとは知らず、
大変な失礼をしてしまった。
申し訳ない。
私が全て間違っていた。
見逃してくれ。」
逃げるように去っていった。
S氏、ほっとしてつぶやく。
「こういうことがあるから、
プロに頼むのは大事だな。
正直、多少変かなとは思ったが、
そんなことは関係ない。
プロの考えということが大事なのだ。」
見た目が最も重視される、この時代。
ファッションセンスがないことは、
すなわち社会的な死を意味する。
しかし、何かがあってからでは遅い。
皆、プロに任せていた。
保険のようなものである。
実際のところ、
ファッションコーディネーターには、
センスのある者ではなく、
何かあった時に、
損害を支払う能力のある者が選ばれ…
ファッションコーディネーター Grisly @grisly
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