その14.キャラクターとストーリー構成の関係
前回までで、筋書きの構築について一通り説明を終わりました。今回は、キャラクターの作り込みについて全百科の内容を交えながら解説させて頂きます。
キャラクターは物語に登場する人物(あるいは人格を持つ存在)ですが、全百科では「どのキャラクターも同じような見た目や中身をしていたら読者が混乱してしまう。キャラクターの持つ個性を描きわけて、初めて物語は読者に理解できるものになる」と説明しています。
また「キャラクターがきちんと定まっていれば、おのずとその行動も決まってくる。逆に定まっていない物語はストーリーが決まりにくい」とも。
ここで全百科の主人公は疑問を呈します。「キャラクターなんか決まっていなくても、今まで説明されてきたストーリー構成を駆使すればストーリーは作れるのではないか」と。
そこで作中の講師は「あらすじはそうであっても、具体的な話を作るときにどう作ればいいか迷うことになる」と説明。
あらすじから絵や文章に落とし込むときに、キャラクターの個性が違うと全く違う話の流れになる可能性があるというのです。
例えば、以前ストーリー構成の解説で挙げた『野球を上達するための努力ができない』というあらすじで、主人公が貧乏な場合と金持ちの場合を比較しますと、
貧乏な場合:
「学業とアルバイトと部活の両立が難しく、練習時間が取れない」
金持ちの場合:
「過保護な親が野球の部活に反対するので、表だって行動できない」
という風に、同じ『努力できない』でもまったく違う流れになってしまうわけです。
ここまで聞くと逆に、「なら、登場人物だけ決まっていればストーリー構成なんて考えなくても物語は作れるのではないか」と思う人もいるかも知れません。現にそういう作り方をする書き手もいるわけで。
その場合、確かにストーリー構成がなくてもキャラクターの行動を考えるだけで、物語はどんどん進んでいきます。
ですが反面、多くの場合、話がどう進むのか書き手にもわからなくなってしまうと。物語の行く先が作者にもわからないのに読者が理解するのは中々に難しいでしょう。
なので、よほど『ストーリー構成』と『キャラクターの作り込み』のどちらかが得意でもう片方が苦手ということでもない限り、基本的には両方をキッチリ作ったほうが良いということです。
(ただ、勉強や自己流探求のために、敢えてどちらかへ偏らせた作り方にチャレンジするのはあり)
では、そのキャラクターの作り込みはどうやっていけばいいのでしょうか?
それについて、全百科の中でとある人物が「他の物語のキャラクターをマネれば簡単に作れるのではないか」と、問題のある発言をしますw
それに対して全百科の講師は「勉強として最初のうちはそれでかまわない。だが、ずっと続けるのはダメだ」と指摘。
マネた場合、キャラクターが似ていると話の展開も似てくることになります。結果、できあがる物語が元作品の劣化コピーになりがちなのです。だから、そうならないためには自分でキャラを作る勉強もしないとダメと。
では、キャラクターを自分で作るにはどうすればいいでしょうか。
それについて全百科では「個性(性格や見た目)に特徴を付けるように考える。もっと簡単に言うならキャラクターを偏らせる」と答えています。『偏らせる』というのは例えば「非常に怒りっぽくする」とか「ドケチにする」とか。
偏ったキャラクターは事件を起こしやすくなります。それで物語の承、あるいは二幕目を作りやすくなるのです。
また、偏らせるのは見た目に関しても有効。例えば極端にハンサムとか不細工とか、背が高いとか低いとか、デブとかやせっぽっちとか。そういったキャラクターが特徴にまつわる事件を起こす作品は多く見られると思います。
またキャラクターの特徴付けにも、前に説明した「置換」「誇張」「逆転」「連想」による展開法が利用可能。例えば動物の特徴を人物に置き換えてみるとか、ありがちで平凡な特徴を大げさにしてみるとか、普通とは全く逆の性格を考えてみるとか。
あるいはそれらを組み合わせて、物語内で無二の個性を作り出していきます。
次回は、上記キャラクターの作り方などを踏まえて、『良いキャラクターとはなにか』全百科の内容を踏まえながら語りたいと思います。
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