クロエと初めての友人2

リナリー、イオ、ラリーの3人は、専門的な知識や技術を深く学ぶ、専門科の生徒だった。


クロエ、アリオン、セリーナ、ルイは、有力貴族が多く通う、特進科の生徒である。


専門科と特進科は授業が異なるので、会うのはランチタイムと放課後くらいであった。


クロエは、この3人と次第に一緒に過ごす時間が増え、段々と打ち解けていった。軽口も言えるようになっていた。


アリオンに対しては、自分をより良く見せようと本音を言えないことも多かったのだが、この3人に対しては、取り繕わず本音を言える心地よさを覚えていた。



ある日の放課後、共通の係活動があるらしく、ラリーとリナリーは先に帰っていった。


いつもは、リナリーとラリーがよくしゃべり、話の中心になることが多い。


クロエとイオが2人きりになることはあまりないので、しばし沈黙の時間が流れた。



「あー、、、イオ、そろそろ帰りますか?」


「うん、、、そうだな。」



そう言って2人は立ち上がり、別れようとした時、イオが口を開いた。



「・・・あのさ!クロエ」



突然呼び止められ、クロエはイオの方を振り向いた。



「俺、建築の勉強してて。庭園の造形とか、模型みたいなのも作ってるんだ。それで、家に今まで作った作品がいくつかあるんだけど、、、」


「あの、本当に良かったらなんだけど。。。家に見に来ないか?リナリーとラリーには見せたことあるけど、クロエにも見て欲しくて。」


イオは恥ずかしそうに頭をかきながら言った。


イオは下を向いていた為、表情は分からなかったが、耳が赤くなっているのが見えた。



「まぁ、お家で作品を作っているの?すごいのね。。。ぜひ、見せて欲しいわ」



クロエは、イオが自分に作品を見せてくれると言ってくれたことが嬉しかった。


誰しも、その人が心を込め、努力して作ったものを見せるというのは、勇気がいることである。


作った者の本質や思いを垣間見ることだとクロエは思っていた。


あまり多くを語らないイオだが、彼がどのような人なのか、クロエは単純に興味があった。



4人セットでいることに見慣れていた生徒達だが、2人が並んで帰っているのを見て、2人っきりで帰るとはどうしたことだと騒ぎ始めた。


イオを狙っている女子も多かった。


2人で和やかに談笑しながら歩いている姿は、仲の良さそうな様子にしか見えなかったのだが、その光景がおもしろくない生徒達が、


「アリオンに振られたクロエ令嬢が、今度はイオにロックオンし、実家の権力を使って従わせている」


と噂を流し始めた。


そんなこととは露知らず、2人は談笑しながらイオの屋敷へ向かったのだった。

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