法螺吹きと三味線弾き 編

第〇一嘘:兵馬銃 花鳥風月

法螺吹きと三味線弾き 編


第〇一嘘:兵馬銃 花鳥風月


「ソラールで賭博することは理解出来たけど

 本当に僕等で勝てるの?」

「中等課程の少年ぐらいが、

一番吞み込みが早いと思いますぞ」

帰りのトロッコ列車の車中で、

アルベルトが馬弔のカードを紐解く。


「基本的には数字合わせ、倭語合わせなのじゃが

 続き番号でもよいというのが特殊なルールですじゃ」


123456789 数子

①②③④⑤⑥⑦⑧⑨ 円子

壱弐参肆伍陸漆捌玖 漢子


「原則的にアラビア数字を使って説明するが

 891 912という並びは原則的にNGじゃ」

『順子』

123 234 345 456 

567 678 789

『刻子』暗刻,明刻

111 222 333 444

555 666 777 888

999

「数字のバリエーションは

(7通り+9通り)×3パターン=48通りじゃ」

『兵馬銃』3通り

兵兵兵 馬馬馬 銃銃銃


『花鳥風月』4通り

花花花 鳥鳥鳥 風風風 月月月

「漢字のバリエーションは

3通り+4通り=7通りじゃ」


「123のように兵馬銃と揃えてもダメじゃし

 花鳥風月を1枚ずつもっても特に意味はありゃせん。

 例外的に天下布武という特殊役があるが

 ソラールでの一戦では狙っていかない和了役じゃ。

天下布武については時間があれば解説を加えよう」

思い出したように、アルベルト。

「馬の1枚待ち。単騎待ちというのじゃが

 特殊役故に、特に後半は安易に馬を切らないこと」


「なあ、アンタ等、馬弔の話をしてるんか?」

縮れ毛で黒いTシャツを着た青年が話し掛けて来た。

黒いスラックスのボトムスのポケットに

手を突っ込んでニヤついている。

コイツ、何か企んでいないか?

「わたくしめの名前はアルベルト・シュバルツ。

 我々の益になる提案ですかな?」

「俺様の名前は雷夜だ。Lierでもいいぜ」

「ライヤーどの、ソラールで打ったことはありますかの?」

「ああ、数回あるぜ。今は女王陛下と金将が

 荒場に仕立てて大変なんだ」

「女王陛下と金将、とな?」

「スノーレオパードとゴールドジャッカルという

コードネームでエントリーしていて

特殊能力で場を荒らすんだ」

「事前情報があって良かったわい。特殊能力とは?」

「女王陛下は有効牌連続自摸(=ツモ)

 金将は暗槓(=アンカン)ドラ爆弾だ!」

暗槓=手持ちの4枚札を晒してドラをめくる行為。

「どちらも厄介じゃの。勝機はあるのか?」

「女王陛下は副露で有効牌スイッチがON/OFFに切り替わる。

 仲間に犠牲になって貰って、適宜副露していくしか道はないな。

ちなみに有効牌自摸時に和了に持っていけなかったら

無効牌自摸状態に陥るらしいぜ」

女王陛下対策は何となく見えて来た。

金将の暗槓ドラ爆弾はどう対処する?

「仲間を紹介していいか? おい、おめえ等!」

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