第550話 学歴の話

 かつては我が社では日大卒の幹部が多かった。建築学科に限って言えば、私立では早大、日大が圧倒的に多い。大学卒業生も圧倒的に多いのだから、そのパワーは凄いと言える。

 現在は東大が多い。京大も続く。日本を代表する大学だから、それもそうかという感じだろうか。しかし、馬鹿と天才紙一重というように、幹部になる人とならない人の差は、他の大学より大きいような気もする。

 東大の人が最高幹部になった場合、他社との話し合いがスムーズなのだという。他社でも東大の社長が多いからである。でもそんなことは重要ではないのではないか?

 建設業のイメージアップや所得アップを推進するのに、日本建設業連合会(略して日建連)が中心となって政府と折衝していく。政府にも東大卒が多いから、そこで話を通しやすい部分もあるかも知れない。しかしそんなところで学閥が関係するのはそもそもおかしいでは無いか。

 我が卒業校は、かつては一年に一回の「会」を開催していた。最年長の先輩は当時かなりの立場にいた。そして、会の前半は彼の説教を聞いた物だった。しかしそれで私が得たものは特になかったように思う。要するに先輩の自己満足だった。他校も似たり寄ったりではないだろうか?

 それでも誰かが大切にしてくれることはありがたい。私が若い頃、ある現場の見学会に行ったときに学校の先輩がいた。私は彼を覚えていなかったが、彼から声をかけてきてくれて、名乗った上で頑張れよと行ってくれた。こういうのはモチベーションを向上する上で良いことだと思う。

 現場に行ったときに、若い社員が社長と会ったときにどうこう・・・と言ったことがあった。同窓会で良く会うのだと言っていた。その後どうなったかは知らないけれど、こういう輩はおそらく大成しない。七光り的な物ではなく自分の力で成長しなければならないのだ。

 有名では無い大学卒の社員がいる。そんな者の中にも、優秀な者が居る。私と同じ大学出身者でも、皆がたいした奴だという者が居る。彼ら自身が出世を求めていないかもしれないが、ある立場から上に上がることは無かった。これが企業として利益のある事かどうかは分からないが、おそらく不利益だろうと思われる。

 以前も話したように、高卒でもたいした人は居る。学歴など関係ないのだ。そんな中で東大を始めとするいくつかの大学の卒業生が優遇されるのは前近代的だと思う。今後変わっていくだろうか?変わっていくことに期待したい。

 

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