愛の森ー魔法使いだけの国でー

K.night

第1話 火の魔法使いペレ(登場人物紹介)

<登場人物>

ペレ:主人公。女性。火の魔法使い。明るく元気な街の人気者。

バァル:男性。水の魔法使い。ペレの悪友。

ポリアフ:女性。風の魔法使い。ペレの親友。

アダム:男性。土の魔法使い。ペレのあこがれのお兄さん。

ゼウス:女性。風の魔法使い。アダムの恋人。

ガクツチ:男性。のちに生まれてくる火の魔法使い。


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 ドーン!パラパラパラ。ドーンドーン!


 木をくりぬいた家。街に張り巡らせた無数の水路。大きな泉。そこに赤、青、黄色と無数の光が水面を光らせていく。


「カオレレ!カーオレイレーイ!」


 両手に炎をまとった少女が夜空に無数の花火を放っている。空が、昼間よりも明るくなった。


「ペレ!やり過ぎだ!ペレ!」


 地上で呼ぶ青年に、少女は何も気づかない。楽しそうに無数の花火の中を縦横無尽に駆け回っている。


「カレコナコアリ!」


 少年がそういうと水流が鞭のように地面にたたきつけ、その反動で少年は宙に浮かんだ。


 またで少年と少女は影のように重なりあうようにゆっくりと降りてきた。


「ペレ!やりすぎだ!バカ!」


「何よ、バァル。いいとこだったのに。」


「うるさすぎるんだよ!何より、夜を昼より明るくしてどうする!?」


 ペレ、と呼ばれているのはちりちりの赤毛にそばかすだらけ、たれ目で愛嬌たっぷりの笑顔を浮かべる少女だった。


 バァル、と呼ばれているのは金髪のサラサラ髪を短くし、眉と目の幅が狭くきつい目線に感じる少年だった。


「おあ、もう火花のお祭りは終わりかい?」


「アダム!」


 ペレは笑いながらやってくるアダムに駆け寄って抱きついた。アダムと呼ばれる青年は黒髪で目鼻立ちがすべて大きくくっきりしていて、優しい顔の美しい青年だった。


「どう、アダム!きれいだったでしょう。」


「すごく。俺もゼウスともっと近くで見ようと思ってきたところだったよ。」


「こんばんわ。」


「…こんばんわ。」


 後から来たゼウスと呼ばれる女性は長い黒髪、褐色の肌にキリリとした目鼻立ち。美しいエキゾチックな雰囲気の女性であった。


 ペレは決まり悪そうに、アダムから離れた。


「ペレ。お前、言われた通り焚き木だけにしておけよ。」


「だって、火の番ってつまらないんだもん。」


 しぶしぶ、ペレは用意された焚き木のところへやってきてた。


「レイレイ!」


 そういうと火が点き、大きな糸杉のような炎が街を照らした。


 今この国、ポリネシアに、火の魔法使いはペレしかいない。彼女の役割の一つに新月を挟んだ6日間、真っ暗になるこの国に焚火をするというものがあるのだ。


「花火綺麗だったんだけどな。」


「アダムさん。そうやってペレを調子づかせるなよ。」


「バァルは手厳しい。」


 そう言ってアダムは笑った。それを無表情で見ているゼウスに、ペレは嫌悪の視線を送っている。


「どうだ。一人で火の番はつまらないだろうから、話し相手になろうか。」


「ほんと!アダム!」


「ああ。ゼウスいいだろう。」


「…やっぱりいい。」


「どうして?」


「いいから!大人しく焚き木の番をしますから、みんな帰って寝て!ほら!ほら!」


 そういって、ペレはバァルの背中を押してみんなを帰らせる。


「頑張ってな!」


 アダムはそういった。後からアダムだけ帰ってこないかな、なんてペレは考えていた。

 





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