KAC20243:箱 あるいはくらうもの
狐月 耀藍
箱 あるいはくらうもの (PCかスマホ横持ち推奨)
ホラ、誰も入らない土蔵がウチにあるの知ってるだろ? ボロボロの。
アの、ボロい土蔵の中。この前。親とかにバレないようにさ、一人で。
箱だ。そこで箱を見つけたのさ。ナニが入ってるかワクワクするよな?
なんッつーか、ルービックキューブみたいなパズルっぽい形だったよ。
て、おい、なんだその顔は。あからさまにがっかりした顔しやがって。
普通、こういう時は「呪いの木箱か!?」とか言って盛り上げるだろ?
ヒトがせっかく話をしてやってんのに! そういう奴は友達なくすぞ!
くいあらためやがれ! ……あ、聞く気になった? まあ、ならよし。
箱を、開けるにはどうにもパズルを解かなきゃならないみたいだった。
連想、できるのはやっぱりルービックキューブか、あるいは知恵の輪。
すると、回すんじゃなく、ずらせるのが分かって、しばらく挑戦した。
だろ? 分かるだろ? できるって分かると面白くなってくるんだよ。
当然、パーツを全部バラッバラにするまでやってみたくなったわけさ。
さ、どうなったと思う? あ? 結局ムズくて放り出した? バ~カ!
子供じゃねえんだぞ、高校生だぞオレは。やるっつったらやるんだよ!
のしかかってくんな、話の腰を折るんじゃねえよ! 結論だけ言うぞ!
たいくつさせたみてぇだからな! 結論、箱の中にはなにも無かった!
ガツガツすんな! ホラー展開を期待していた? バカ言え殺す気か!
まっ……たく! オレの家を、都市伝説の発生源にするんじゃねえよ。
てるてる坊主みたいに、梁から逆さ吊りにしてやるぞこんちくしょう。
箱だった物体? ああ、今、ここにあるぜ? え? 近づけるな?
お前、都市伝説なんて信じてるのか? ただの木の部品だぜ?
だよナ、当然さ。正直言うと最後は俺もビビったけどな。
お前、ビビり過ぎ。見ろ、縦に積んだら積木だよな。
読み過ぎなんだよ、お前、ホラーものばっかり。
手のヒラなンか見せて、お前、何してンダ?
死体? ナンデ逃ゲル? ……オレ?
ダ、縦二列? ナ゛ニ゛……?
KAC20243:箱 あるいはくらうもの 狐月 耀藍 @kitunetuki_youran
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます