海の唄

 リゾートコロニー。それはとある大手会社が経営する娯楽施設のみで構成されたコロニーであり、そのコロニーそのものの運営すらその会社が行っているというとんでもない規模のアミューズメント施設である。

 この時代は割と娯楽が多い。しかし、それ故に競合他社に負けないインパクトが必要だった。

 それ故に誕生したのがこのリゾートコロニー。

 中には人工海水浴場とカジノコーナー、更には遊園地から水族館、はたまた温泉に宇宙各地のグルメまで、良質な娯楽施設が様々存在する。

 しかし、そんなリゾートコロニーの各施設の利用料は、良質さも相まってとんでもない。

 リゾートコロニーへの入場料にホテル代だけでも一般人の稼ぎは消し飛ぶほど。更にそこに食費やら何やらも加えると、とてもじゃないがパンピーには払えない程の額を見ることになる。


「いやー、来たわねぇ」

「来たなぁ。うわー、すげぇよ、俺等マジ浮いてる」

「そりゃ周りに居るの富裕層ばかりだし浮くわよ」


 周りはみんな富裕層。そこに交じるパンピー3人衆。

 ドレスコードも知らねぇと言わんばかりに来たのは間違いだったかと少し後悔。

 ティファの決めたら即行動が若干裏目に出てしまった。が、ドレスコードなんて後からでもどうにかできる。

 という事で3人は、浮いてるのはいつもの事だと言わんばかりにゴーイングマイウェイ。宿泊先として予約したお高めの、寝室が2つあるホテルへと向かったのであった。

 件のホテルは泊まるだけで他のホテルのスイートルーム……程ではないが、割と馬鹿にできない金額が消し飛ぶ。それを1週間分予約したのだから、きっとロールが領収書を見たら気絶する程の額が消し飛んでいる。

 しかしネメシス1機買うよりは安い。故にティファはふーん、高いなぁ程度でサクッと支払ったのである。

 そんな高級ホテルはと言うと。


「いらっしゃいませ。ご予約のティファニア・ローレンス様、トウマ・ユウキ様、サラ・カサヴェデス様ですね。お待ちしておりました」


 入った瞬間に従業員の1人が即座に現れ頭を下げる、完璧なムーヴを披露。

 時折使うホテルみたいに適当にチェックインして……という感じかと思ったら全然VIPに近い待遇だったので、思わずティファとトウマが固まる。

 そんな2人を見て苦笑したサラが代わりに前に出た。


「出迎えありがと。それじゃあ、早速部屋に案内してもらえる?」

「かしこまりました。どうぞこちらへ」

「えぇ。ほら、2人とも、行くわよ」


 サラの言葉に2人は頷き、ついて行く。

 案内されたのは、ホテルの最上階近く。その中の一つの部屋に案内され、従業員が鍵を差し込んでドアを開ける。

 ドアの先には映像でしか見たことない広く綺麗な部屋があり、思わず庶民のティファとトウマがまた固まる。


「フロントへのご要望はそちらにあります端末の方から可能です。また、何かありましたら内線の電話をお使いください」

「えぇ、そうさせてもらうわ。あと、少し端末を借りてもいいかしら?」

「勿論」

「…………はい、ちょっとしたお礼を振り込んでおいたから。丁寧にありがとね」


 しかしサラは慣れた様子で簡単に説明を受けると、従業員の男の端末越しに彼に直接チップを払い込んだ。

 従業員の男は礼を1つ言い、そのまま部屋を去っていった。

 その間も馬鹿二人はフリーズしている。


「はぁ……トウマはまだいいとして、ティファ。あんたが取った部屋でしょ、ここ」

「え、えぇ……でも、ここまでとは予想外で……」


 とは言うが、実はティファさん、「あっ、ここ寝室2つあるし部屋も広めだからここにしよっと。高いけど別にいいや」程度の考えで部屋を取ったため、まさかここまでの待遇で迎えられるとは思ってもいなかったのである。

 それを何となく察したサラは溜め息を吐き、まぁいいか、と切り替える。


「それじゃ、寝るとこに荷物だけ置いて外行きましょ。勿論、女性陣が優先でトウマは余った方ね」

「お、おう」


 という事でサクッと寝室を決める事に。

 結果、ダブルベッドで豪華な装飾があった寝室を女性陣が、シングルベッドで少し華やかさには欠けるものの、落ち着く雰囲気の寝室をトウマが使うことになった。

 お前ら色んな部位が小さいんだしシングルベッドでもいいんじゃない? と零しかけたトウマは一瞬殺意を当てられてビビり散らかしていた。

 そんな訳でそれぞれの寝室は決まり、そして荷物(着替えと日用品が少し程度)を置いたあとはと言うと。


「おー、流石リゾートコロニー。すっごい綺麗な人工海ねぇ」

「見たところゴミ一つ落ちてないし、流石よねぇ」


 リゾートコロニー内にある人工の海へとやって来た。勿論トウマはレンタルして来たビーチパラソル等の荷物持ちだ。


「けど、人は疎らだな」

「そりゃ今はシーズンじゃ無いし、休日でもないもの。人なんてそう居ないわよ」


 居るのは働かなくても生きていけるような富裕層くらいのもの、とティファは続けた。

 ちなみにプライベートビーチなる物もあるようだが、そこはお高いしティファ達も態々人目を避けなければならない事情もないので普通のビーチに来た。

 水着に関してはトウマは適当に着てきたので、とっととその場で脱いで完了。女性陣が着替えに行っている間にビーチパラソルを立てたり椅子を組み立てたりビーチチェアを借りてきたりと下準備。

 せこせこと男手一つで準備をしていると、ようやく着替え終わったらしい女性陣が更衣室から出てきた。


「どう? 準備終わった?」

「ぼちぼち。浮き輪とか必要なら自分で準備してくれよな」

「そうするわ。で、あたし達の水着を見ての感想は」

「うるせぇちんちくりん共」


 その瞬間、2人の拳がトウマの顔面にめり込んだ。

 前が見えねぇ。


「コイツにそういうのを少しでも期待したのが馬鹿だったわね」

「そうね。まぁ、だからと言って細かく感想言われたら言われたで殺したくなるケド」

「つまりどう答えてもこうなったって事ですよね???」


 はい。

 理不尽なちんちくりん共にキレかけるが、我慢。流石に自分の答え方もどうなんだ、と思ったので。

 ちなみに、ティファの水着は黄色のビキニとウォーターデニム、サラの水着は白色のフリルが付いた青色のハイネックビキニという感じである。

 似合ってるか似合ってないかで言えば、2人ともガワは美少女そのものなので似合っている。

 身長とバストが圧倒的に足りてない事を除けば。



―――――――――――――


後書きというか蛇足です


Q:なんでトウマは頑丈な時とそうじゃない時があるの?

A:ギャグ補正

Q:じゃあギャグ補正が効いている時に撃墜されるとどうなるの?

A:スプライシングは焦げるだけだしトウマもアフロになるだけです。アフロ傭兵

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