初めての見学①

あれは私が12歳の誕生日を迎えた次の日のことだ。


服部家は昔から代々忍者の家系として有名で、お祖父様はこの里で1番偉い人だ。


現代では警察と忍びの里の両者が協力体制を取ることで忍者の生業を果たしている。


そんな忍びの里の者たちは15歳になると現場へ駆り出されるようになるが、その前にまずは現場を知ることを12歳になってから始める。


例に倣って私もお祖父様に呼び出された。


「雫や、今日からお前も任務に同行することとなる。今回は海外からの密輸犯の取り引き現場を押さえる仕事じゃ。雫は一華と共に全体が見渡せる倉庫の上の方で見学じゃ。将太郎に2人の護衛を任せてあるから心配はいらん。あいつは頼りになるからのぉ。では頼んだぞ。」


「はい、お祖父様。」


お祖父様の和室から出ると一華と将兄がいた。


「し〜ず〜く〜!今日からあたしと一緒に見学でしょ?先輩であるあたしにちゃんとついてきなさいよ!見学のポイントとか教えてあげるんだから!(えっへん!)」


「一華もまだまだ見習いだろ?それより雫、今日は見学だけど一応、装備一式着用してこい。何かあった時に応戦できないと怪我するからな。」


「うん、わかった。ありがとう。」


「それじゃ雫と一華は任務の時間まで、まだまだ時間があるから今のうちに寝ておくんだぞ。わかったな?」


「はーい。んじゃまた後でね、雫!」


嵐のような一華とそれを諭す将兄は話し終えると自分の部屋へ戻って行く。


私も部屋に戻ると少し仮眠をとった。

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