第2話 女の園
私の働く地方にある小さな市立図書館は、小さなスペースに所狭し本が収まっている。そして、女の園の不穏さが建物の中にパンパンに詰まっている。
私達はその中で、時に思ってもいない褒め言葉を、ときにその場にいない人の陰口を叩きながらちょっとずつちょっとずつやり過ごしている。そう、やり過ごしてきた。
職場は60代の主任、50代後半の副主任、40代が2人に、27歳の私・
同じ27歳の
市役所から出向する40代と30ちょっとの上司がイケメンなので、イケオジ派とアイドル顔派かで盛り上がるけれど、妻帯者と彼女持ちのことなので誰もそこまで本気で話してはいない。
何だっていいのだ。話のタネがあれば、誰かがこねて誰かが杵で突く。何気ない日々のささやかな出来事は果てしない暇つぶしでしかない。
司書資格の有無で時給の差があるから、そこで生まれるやっかみや派閥という雑草をどうでもいい話で摘んでいくのだ。その代わりにかりそめの団結という花を育てる。
かわりばんこで水をやり、芽が出たところでお陽さまに当てて、咲いた花を皆で愛でて、実がなったら均等に分けるだけ。この均等が、マジで鉄則。
カウンターで疲れている顔をすると、
「ひとみん、大丈夫?疲れてるんじゃない」
そう言った後に、切れ長の整った目を岩瀬さんにチラッと向けてからこう言った。
「岩瀬さんのこと、あんまり気に病まない方がいいよ」
私は曖昧に頷いて、ありがとう、と言った。
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