第49話 皇帝ですわ
封臣が王国を名乗れるだけの領地を得て、王になった時、その主君の王に力がなければ王となった封臣は独立をしますわ。しかしレイナール公爵はレイナール王となった時、特に独立等は狙わなかったため、私は王の上の存在である皇帝にいつの間にかなっていましたわ。王国を複数保有したので、当然の流れですけど驚きましたわよ。
これからはナロローザ王国ではなく、ナロローザ帝国というわけですわね。まだロウレット帝国の3割程度の領土でしかないですけど、あっという間に領地が大きくなりましたわ。しかし皇帝になったということは、もう頂点に上り詰めたというわけですので、後は落ちるだけですわ。もう落ちる方向にしか伸びしろがありませんわよ。
「これからも、私の私による私のための政治を続けていきますわよ。
まずは占領地から無能を追放ですわ。というか職人以外要らないので追い出してくださいまし」
他国とはまだ戦争中ですが、とりあえずヘルソン王国との戦後処理は始めて行きますわ。もう相手が勝手に崩れ去った印象ですが、騎士団の人とか軍の人は表彰していきますわよ。クレシアが決めた功績表では、何故か私が戦功第一位になっていたので、これは軍からの嫉妬も貰えますわね。
あと戦後処理に関してですが、無能を追放して行けば、いつか必ずしっぺ返しがあると信じて旧ヘルソン王国領は解体をしていきますわ。レイナール王の軍勢が旧ヘルソン領の大部分を占領しましたが、そのほとんどが不毛な土地で肥沃な農地や人口の多い都市をこちらに譲っているのは出来た人間ですわね。
「リディアお嬢様、報告です。
ヘルソン王国領でリンリン教の教徒が暴れていたため、リンリン教の教徒数百名を追放をしたようです」
「……まあ平等を求める連中は、基本的に平均以下の存在なので良いですわ」
ジョシュアから報告を受けますが、旧ロウレット帝国領でのリンリン教の広がり方が良い感じですわね。これは革命待ったなしですわ。私ほど革命の最中ギロチンで首を切り落とされる姿が似合うお嬢様はいませんわよ。ちゃんと首がギロチンで落ちるよう、ガルロンにギロチンの作製を依頼しないといけませんわね。
しかしリンリン教が、うちの領内ではあまり広がりを見せないのは不穏ですわね。というか一部の領主が勝手に禁止して追放しているので、広がるはずもありませんわ。かといって許可を出して広がりを推進すると、上手く処刑台に上がれませんので難しいですわね。まあ、今まで通りマリアへ資金援助を続けるだけですわね。
「今の世にいる人間を30種に分けて各年齢毎にスキルマップを配布しますわ。すべての種類の年齢基準に満たない人間は、領地から追放する方針で固めますわよ」
「戦闘種、農民種、建築種、鍛冶種……同じ戦闘種の中でも幾つか系統が分かれていますし、すべての種の年齢基準に満たさない人間はそうはいないと思いますが」
「計算上、これでも年に1万人は追放出来るはずですわ。私が皇帝になった記念の、大追放ですわよ」
私が一番偉い人間なので、国民をどう扱っても現状誰も文句は言いませんわ。なので、無能な連中を沢山作って沢山追放しても誰も文句を言わないということですわね。そして明確な『追放基準作り』は、非常に楽しかったですわ。
文字の読み書きが要らないと言われている農民種でも『15歳までに自身の名前の読み書きが出来る』という基準を追加しているので、ここで結構な数、1万人程度が追放される予定ですわ。施行されるまでの間に、自身の名前だけでも書けるようにならないといけないというのは、領民にとって気に入らない領主になれそうですわよ。
一部を除き、5歳から各年齢毎に99.9%がクリアできる試験を作ったつもりですので、毎年追放出来ますわ。完全に私のための制度ですわね。そして追放された人達が集まって、私に復讐をする。素晴らしい流れですわ。
「ハイン王国はリンリン教が広まっているので、追放された人はそこを目指すと良いですわ。人類皆平等を目指しているので、きっと受け入れてくれますわよ」
「……リディアお嬢様は、人類皆平等が可能だと思いますか?」
「人の能力に差がある限り不可能ですわよ。当たり前の事を言わせないで下さいまし」
追放した人間はハイン王国を目指すよう言っておきますが、無能達が集う地域はどうなっていくのかある意味で見物ですわね。マリアも使えない人材は最終的に何もさせないようにしていましたが、そういう人材が増え続けた時にどういう対処をするか楽しみですわよ。
というか毒にも薬にもならない人材はまだ良いのですが、勝手な行動をして毒にしかならない人材は追放ですわ。復讐される期待や楽しみを除外しても、追放しかありませんわよ。
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