第40話 魔族領ですわ

全方位敵外交をしていたら、いつの間にか全方位侵略作戦に変わっていて、村長クラス以上の支配者層は全て追放していっているのにも関わらず、今だに破綻が起きていないことに最近は憤りを感じて来ましたわ。


というかついでに敵国の地では弱者を追い出し強者を自国民にしていくことで良い感じに食糧事情が解決していくの草生えますわよ。勝手に解決しないでくださいまし。支配領域では男の人口を目安半分にすることで、良い感じに恨みを買えますし、男は最悪超少数になっても人類の繁殖に問題はないのが問題ですわ。


女王である私が役に立たない男は追い出せという光景は、いずれわからされるメスガキみたいなキャラになってますわね。今のところ私をわからせてくれる男性はいませんが、その内現れることを期待しますわ。


このまま行くと私が望む破綻が起きないような気がして来たので、サブプランの女神追放計画の方を進めますわよ。とりあえず、魔族との交流を始めますわ。海を隔てて対岸にある魔族領を支配しているのは魔族と呼ばれる肌が紫色だったり青色だったりする上に角や羽が生えている人間擬きなのですが、あれはたぶん全員元人間ですわね。


まだ私が魔法学園に入学したころにあった高位の悪魔は、かなり人間味がありましたし、恐らく身体を弄りまわしたのでしょう。帝国が崩壊しましたし、そろそろ魔族達が仕掛けて来る頃合いだと思っているのですが、中々来ませんのでこちらから接触しますわよ。


「というわけでシュパースを使って魔族領まで飛びますわ」

「え」

『ええぇ……』

「……ヘルソン王からの降伏願いについてはどうされます?」

「降伏は却下ですわ。無能な王は追放ですわ」


魔剣を使って魔族領まで行くというと、驚くのは私の膝上に座って可愛がられていたメイと空中を漂っている魔剣のシュパース。護衛兼ペットのメイは当然連れて行くとして、留守居はもちろん私の椅子になっているジョシュアですわ。そろそろこのお城を乗っ取ってくれても良いのですが、一向に謀反を起こさないのはつまらないですわね。


というかジョシュアも私の役に立とうと追放された領主に代わって代官を務める人材の教育を始めていますし、ここのメイド達の優劣は家事能力じゃなくて統治能力で評価されるとか何かがおかしいですわ。封臣達が占領した占領地は、騎士団出身の人とジョシュアとクレシアに与えているのですが、今のところメイドと執事出身の領主は半分程度いますわね。


……いえ、きっとジョシュアもクレシアも仕事を押し付け旅行に勤しむ無能な領主への反乱を起こすため、子飼へ領地を与えているに違いありませんわ。そうなってくれないと私の破滅の未来がどんどん遠くなっていくので本当に頼みましたわよ。


というわけでクレシアやジョシュアの反乱にも期待をしつつ、魔剣を掲げて魔族領まで飛びますわ。ワイバーンとかに乗って空を飛ぼうと思ったら飛べるのですが、こちらの方が疲れるので私にあっていますわね。地味に片手で魔剣を掲げながら、メイを抱きかかえるのは力がいりますわよ。


個人的には今回の魔族領旅行で、ダンジョンの魔族領側の入り口を見つけたいですわね。ダンジョンはこちらの大陸に何か所か入り口がありますが、魔族領とも繋がっていて過去は交易までしていたらしいですわ。現在はダンジョンに住む魔物が強くなったのと、こちらの大陸に住む人の魔族への嫌悪感が強くなったせいでほとんど通じていないですが。


まあ魔物が強くなったのは女神産の魔物が下層に溢れて、元々下層に住んでいたような魔物が上に追い出されている影響ですわね。ダンジョンの魔物の生態については魔法学園で学びましたが、彼らはダンジョン内に生える魔力の帯びた鉱石を食べるらしいですわ。魔鉱石と呼ばれるようで、種類は沢山あるようですが基本的には下層に生えている魔鉱石の方が魔力は多いようですわよ。


『海峡越えるだけの魔力量あるのは凄いよ……』

「魔力量は一般魔法使いの10倍以上ありますからね。

っと、見えてきましたわね。思っていたより寂れていますわ。これは……」


大陸と魔族領の間の海を渡り、到着した魔族領は少し進むと寂れた豪華なお城が出てきますが、これ壊れた状態でこの空間そのものが保存されていますわね。あまり中には入りたくないお城ですのでスルーしていると、その城の奥側には新しいお城があって魔族の気配が複数しますわ。というか普通に街並みもありますわ。


「魔族があんなにいるところに降りるのですか!?」

「集団リンチされるかもしれませんわね」


文化的な生活をしている紫肌や青肌や赤肌の人型を見てると、ちょっと違和感が凄いですわね。せっかくなので魔族達から取り囲まれてフルボッコ展開を期待し中央の通りに降り立ちますが、特に不信感は抱かれていませんわね。どうやら普通の肌色をした人間も街中にはいるようで、それも珍しい存在ではないということでしょう。思っていたよりも、普通の生活を営んでいますわね。

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