第37話 帝都崩壊ですわ

アーセルス王に喧嘩も売ったので、もうアーセルス王国でやるべきことはありませんわね。アーセルス王から捕縛命令が出ましたが、恐らくこの場で戦っても捕まることはないでしょう。ですがあまりに数が多いですし、軍隊を動かしている気配もあるので相手をするのは非常に面倒そうですわ。


なので魔剣を握り、空を飛びますが、2人の人間を飛ばそうと思うとガンガン魔力が減っていくので長時間の飛行は難しいですわね。基本的にこの剣は握っていると楽しくなってくるので、簡単に無理をしてしまうという点では注意しなければいけないのでしょうね。私は注意しませんが。


それにしても極太消滅砲を放つ魔剣や空飛ぶ魔剣、魔剣と人体を合体させることにより魔剣を何本でも使えるようにする魔剣等、魔剣1本1本の性能はぶっ壊れてますわね。精神が虚弱ですと泣いたり笑ったりしか出来なくなる上に、下手すれば鬱になって自殺しますけど、それでも億の値段で取引されるはずですわ。外れ気味のデプハスションでも1000万円で買えたのは幸運でしたわね。


空を飛んで領地の方へ帰ると、既にロウレット帝国の皇帝が殺害されたことは領民にまで知れ渡っていますが、アーセルス王国の王都に居ても伝わってきていたのですからもう情報を秘匿することなんて不可能ですわね。せめて第一皇子か第二皇子のどちらかが生きていれば何とかなったかもしれませんが、両方死んでいる以上ロウレット帝国の崩壊は必定ですわ。


帝国内ではまずハイン王国が独立を宣言しますが、相次いで公爵達も独立を開始しますわね。王よりも公爵の方が納める税率は高いですし、全て懐に入れたくなる気持ちはわかりますが後ろ盾のいない公爵は周辺の王国の餌ですわね。どこも飢えていることを考えると、末路は悲惨ですわ。羨ましいですわ。


……私も乱世で滅びるために早々の独立を宣言しますが、何故かロウレット帝国内での軍事力評価はナロローザ王国がトップでしたので、早々にナロローザ王国へ攻め入る国はないでしょう。ですがまあ、待ち望んでいた乱世の到来ですわね。治安は悪化し、戦争は増え、滅びる勢力が沢山出る。叶うならば、その中の滅びる勢力の1つになりたいですわ。


あと遠くの皇帝より近くの王の封臣となることを選ぶ伯爵も多いですし、独立出来るだけの力量がないところは鞍替えを選択していくのでしょう。ナロローザ王国にもそのような話が大量に舞い込んで来ますが、当然ながら全て却下ですわ。


「それであの……本当にすべての臣従提案を破棄して宣戦布告してもよろしかったのでしょうか……?」

「どうせ他の国に、軍事行動出来るだけの力があるわけないですわ。兵糧がないのに侵攻作戦なんて出来ませんわよ」

「では何故宣戦布告を……?降伏させて支配地にするのであれば、そのまま臣従提案を受け入れても」

「嫌ですわ。私は他国民を自国民にする順番を選びますの。ついでに国民自体も選びますの」


お城に戻ると既にクレシアは外交官としてあちこちに移動しているようですので、留守居役にはジョシュアが居ましたわ。何か疑問を投げかけられたので適当に答えますが、臣従しようとしている領主は大抵自身の権利保護もセットにしてくるので全部却下は当然ですわよ。


というか食料援助が主目的なのは分かっているので下手に拡張すれば自領の食糧が足りなくなりますわ。こちらから侵攻して、順番に支配地にしていくので待っていなさいとは伝えていますが、それでも言いがかりをつけてくるので貧困に喘ぐ為政者というのは口煩い存在ですわね。


「難民が押し寄せて来るでしょうが、全員追い返しますわよ。たとえ親族でも他国民を匿うような国民がいれば、追放しますわ」


元々は同じ帝国に住んでいる帝国民のため、当たり前の事ですがヘルソン王国に両親が住んでいたり、逆に息子がハイン王国に住んでいるようなことは珍しいことではありませんわ。それを呼び戻すための期間は一応設けますが、その期間が終了すれば一切受け入れませんわよ。


いよいよ私は暴君として処刑されるため、本格的に動き始めますわ。サブプランとして組み立てた女神追放計画の方はまだあの転生者集団がダンジョンの最下層に行くには戦力不足と判断しているので、そっちはそっちで戦力が集まるまで放置ですわね。


とりあえず飢える他国民に向けて「パンが無ければケーキを食べれば良いですの」と煽っておきますわ。某有名な王妃が言ってない有名な台詞ですが、煽り文句としてこれほど優秀なものはありませんの。


自国は現状安定していますし、城塞建設ラッシュ中ですので経済も好循環を続けていますわ。自国さえよければそれで良い。このスタイルを突き進んで他国からの恨みを買い、破滅の未来を目指しますわよ。

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