第23話 豊作ですわ

休暇中に農作物の収穫が始まりますが、異世界の広大な大地に見渡す限り稲が実っているのは壮観ですわね。まごうことなき豊作ですわ。ここ数年、毎年のように収穫量が上がっているので、領地経営は順調と言えますわね。


中でも今年は気候が良く、収穫期に晴天も続いたのでとてつもない量の米が税として納められますわ。異世界なのに米ですわ。まあ過去の転生者には感謝しかありませんわね。米は農作物としてとても優秀ですわ。


帝国内全体で豊作というわけではなかったので、これで農作物の値段が崩れたりもしないですわ。封臣達は全員真面目に税を納めに来ますし、領内で異変がないとかつまらないですわね。どうして誰も不正をしないのですか?これでは追放が出来ないではありませんの。


数年前までは何人もの封臣達が不正をして、改ざんや賄賂のオンパレードだったので追放が出来ていましたわ。全員私財を没収して領外へ追放したので、そろそろ復讐に来ても良い頃合いだと思うのですが……今のところは追い出された元領主のその後の動向を聞きませんわね?


そうこうしている内に、ロウレット帝国が軍を興してアーセルス王国への侵攻を開始しましたわ。これは前回私の領地にアーセルス王国軍が攻撃してきたことに対する報復ですわね。このアーセルス王国、国力だけで見たらそこまで大きな国ではなく、ロウレット帝国の2割もない国土しかないのですが……。


まあ潰れないでしょうね。アーセルス王国を挟んで対面にあるオーシェイ連邦はアーセルス王国が潰れると困るので援軍を送りますし、アーセルス王国の国境には強固な要塞がずらりと並んでいますわ。しかも近年は魔剣持ちのSランク冒険者が量産されているようですし、私が反撃した時も大将こそ討ち取れたもののその後の撤退戦が上手くて主力をあまり削れませんでしたわ。


「で、当然ですが参戦要請が来ますわね。……学園の方、後期はしばらくお休みですわ」


ロウレット帝国が今回動かした軍勢は、およそ2万人。常備軍が1万人に、諸侯の軍が合わせて1万といったところですわね。反乱鎮圧や諸侯の兄弟争いに介入している軍、戦時中に帝都に置かれる予備戦力等を除けば、大体今動かせる軍を全て持ってきているようですわ。地味に魔王に攫われた皇女救出作戦に勇者や高ランク冒険者達が駆り出されたせいで、そこら辺の戦力が軒並み居ないのは痛いですわね。


……アーセルス王国からナロローザ公爵領への侵攻したことに対する報復戦争のため、参戦しない理由はありませんわね。せっかく魔剣を手に入れたので、魔剣を集めようとしているエイブラハムに見せびらかして自慢でもしてやりたかったのですが、後回しですわ。


うちの面子の大半が報復してやろうぜ派ですし、400人の騎士団と私が王になってから新設した金色の鎧を身に纏う重装歩兵400人を引き連れて参陣しますわ。金色の鎧は如何にも成り上がりっぽい貴族の軍の装備ですし、凌辱されそうなお嬢様力に磨きがかかっていると思いますわ。


まあ流石に鎧を全て金で作ることは出来なかったので金メッキですが、それでも目立つので滅茶苦茶注目されますわよ。ついでに伯爵に封じた6人の元騎士達もそれぞれ選抜した100人の手勢を率いていますし、アリー公爵の槍兵300人とハロザー公爵の騎兵300人も合流しているのでナロローザ王国軍は2000人ということになりますわね。


前回アーセルス王国軍が常備軍だけで4000人の軍で侵攻してきたことを考えると、その半分規模のナロローザ王国で2000人というのはまあ妥当ですわね。一応重装歩兵も中身は私が選抜したアソコが大きくて屈強そうな男達なのでそこそこ戦えますわ。彼らに関してはいつ裏切ってくれてもうぇるかむですわよ。


捕らえられるため、凌辱されるために先鋒を希望したらあっさり通ったので配置は2万2000人の軍の一番前方ですわ。普通、万単位の大軍の先鋒とか兵は士気が下がりやすいのですが、何故か爆上がりしてるのでちゃんと負けてくれるか不安ですわ。負けたら領主を見放して全軍撤退するのですよ?


アーセルス王国領に入ってすぐの地点で、アーセルス王国軍の正規軍4000人と冒険者からなる部隊が4000人、オーシェイ連邦軍1万5000人が待ち構えていましたわ。数の上では2万3000人対2万2000人と、ほぼ互角ですし軍の質でもそこまで変わらないでしょうから大事な緒戦ですわね。


さきほど将軍にも「私の軍が敵先鋒を打ち砕き、必ず勝利してきますわ」と言って来たので、私の軍が打ち砕かれるよう工夫して敗北して捕虜になって拷問されるよう頑張りますわ。敵の先鋒は、アーセルス王国軍4000人と冒険者4000人からなる8000人ですわね。


一応こちらの先鋒はナロローザ王国軍2000人とロウレット帝国軍5000人からなる7000人ですが、相手の指揮官の方には私達が合図するまで突っ込むなと言ってありますので2000人対8000人が実現しますわ。この捕縛され凌辱されるチャンス。何としてでもものにしますわよ。

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