第15話 アレス

「アレス…」


 ぼそぼその声、だったが、確かに唱えた


「早く首を刎ねるぞ」


 空が瞬く間に曇り雷が鳴り響きあたりにある木々、そして結界にも落雷する


「C!早くしろ、このままだと雷に打たれるぞ」


「へいへい」


 雷が結界を破り、そのままアランに直撃する


「クッソ、まぶしくて何も見えない」


 左手で視界を覆い、右手にもつナイフでCは薄っすらと認識できる範囲でアランにとどめを刺そうとする、が…


「やっと光が弱まってき、た…」


 隊長は目を細く開け、辺りのの現状を確認する


「な…」


 隊長の視界に映っているのは、真っ黒に焦げたEと、巨大な槍に体を貫かれて黒焦げになっているC、そして…炎のように赤く燃え上がる髪、金色に輝く黄金の右眼、翡翠色に輝く黄緑の左眼の少年


「お前、誰だ」


 隊長は一切油断できない、やつは常に殺気を飛ばしている。もし一歩でも動いたら脳天を貫かれると分かってしまったからだ

 呼吸が乱れ、発汗が収まらず半分死を悟っている


「……アラン」


 このガキまさか固有魔法持ちだったのか、そんな化け物とタイマンでやりあうだけ無駄今こっちの魔法使いが向かっている、時間稼ぎをして人数が有利になるまで


「フレアブラスト」


 アランは炎を出し、それを自身に着せ燃え上がる状態で隊長に急接近し間合いに入り槍を大振りに振るう

 隊長はアランが槍を振るうのと同時に頭を後ろにぶん回し、回避し後ろへ跳び距離を置く


 今よけなかったら確実に死んでいた、それよりも何で魔法が使えるんだ、それにあんな死んでもおかしくない重症で何で身長の二倍はある巨大な槍を持って立っていられる

 あの槍もどこから現れた


「槍、デカい、…じゃま」


 アランがそう言うと、槍は月光のように輝き、二本の剣になり両手で握る

 右手で握っている剣は白く光り、左手で握る剣は特に何の変哲もないただの剣の形をしているが、全ての生物が本能的に危険信号を脳内で繰り返す


「き、えた」


 隊長の姿が消え、どこにいるのかアランには分からないが左手の剣はアランが最初に森に入った方向へ引っ張っり、アランを動かす



「このまま、合流できたら」


 隊長は足を剣に貫かれ走れないようにない


「早すぎる、こんな任務すら果たせない、なん、て…」


「し、ね」


 アランは隊長の喉に剣を差し引きぬく


「まさかこんなことになっているとは」


 一人の魔法使いがこちらを見る、左胸に勲章的なものをつけている


「きゅ、う、てい、ま、ほう、つ、かい」


「ほう、旧式のものを知っているとは、見かけによらず博識なのだな」


 アランは宮廷魔法使いと眼を合わせ…喉がつぶれたと思うほどの声で言い膝から崩れ落ちるように倒れる

 魔力切れでまったく力が出ず、微動だにしない


「魔眼か、だが魔力の使い過ぎで効果を発動できないようだな」


 宮廷魔法使いはアランに右手の手のひらを向け、魔力が集中し集まっていく


「リジェクショ」


 宮廷魔法使いの右腕が吹っ飛んだ


「僕の弟子をこれ以上痛めつけるのはやめていただこうか」


 







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