第14話 暗殺者なのに
魔力を身体中に高速で流す、そうすることで身体能力を向上させることができる
「なぁ…」
一瞬で二人の背後を取り、木剣でみぞおちを思いっきり叩き
パァァァン‼と木剣が折れるほどの一撃を叩きこむ、Fはとっさにバックステップで回避するが
「着地するなら地面はちゃんと確認しとかないと、特に湖とか水に近い場所はね」
「な、」
Fはぐちゃぐちゃな地面に気付かず、湖に頭から落下した
「こりゃもう救急案件だな、とりあえず南無さん」
これで二人撃破、一人は気絶、もう一人は湖に落下
あと二人
「おい隊長、Fがやられたぞ、それにさっきの動き見たか、急に魔力を出し始めたかと思ったら」
「言わなくても分かっている、おそらく強化魔法を使ったのだろう、しかもあそこまで高度なものとなると単純なフィジカルの殺し合いでも負けかねないが…いまの俺たちはこれがある」
さてとそろそろもう二人が仕掛けてきてもおかしくないんだけど、父さんを倒したやつがこっちに来ているから早くけりをつけたい、いや、だから時間を稼いでいるのか、だとしたら
飛んでくる
アランは思考を巡らせていると、正面から何かが飛んで地面に落ちると、機械と思われる物体が、高速回転を始め魔力の結界が構築される
なんだこれ、ってそんなこと考えているうちに結界から早く出ないと
アランが一歩踏み出した瞬間、足元にナイフが飛んでくる
「悪いがこっからは出さねえぞ、それにどっちにしろお前はもう長くない」
「何が長くないだ、こちとらまだ成人どころか十歳にもなってないクソガキだぞ」
あいつ、なんで俺の左腕を見て…
左腕見て絶句した、少しだが切り傷を中心に黒くなっている。
まさか、バックステップと同時にナイフで斬られた
「毒で黒くなっているのか」
「意外と冷静じゃないか、だが持ってあと半日といったところか」
意外と長いな、マムシとかでも3~4時間で重篤なのに
「Fを倒したのは褒めてやるというより、油断したあいつの自業自得だ」
「隊長、無駄話してないで早く殺して帰ろうぜ」
さっきFを倒したと言っていた、それはおそらく湖に落ちたやつのことだと考えて、なら俺が木剣で倒したやつは
「な…」
何か鋭い痛みが俺を襲った、腹痛というより、調理実習で間違えて自分の指を切ったときの痛みに近いこれは…
とっさに腹部を見た、ナイフが背中から腹まで貫通しており、刃に紫色の液体が塗ってある。どう見ても毒としか見えない色…悲報、ワイほぼ死亡確定
Eは俺に刺したナイフを引き抜き、血が大量に出てくる
掲示板に書いても、さっさとくたばれとかのレスしか出ないんだろうな
それより解毒魔法…っ!
「魔法が使えないことにやっと気づいたか」
隊長と呼ばれている男が見下している口調で言う
「この結界の中では魔法が使えない大人しく死ぬことだ」
「暗殺者なのに標的あいてに目の間に出てきて殺すまでの無駄話、まったくもって素人としか思えない」
「この期に及んで挑発とは…C、こいつを殺れ」
「こいつもう、出血やばい上に毒でもう死にかけ同然、ほっといても死ぬぜ」
「お前は詰めが甘すぎる、その油断が原因でいったいどれだけの任務を失敗してきたか忘れたか」
このままじゃ本当に死ぬ、母…さん、くっそ、まだ母さんから魔法、を、教わってな、いのに
頭の中にありとあらゆる記憶があふれてくる、これが走馬灯ってやつか、魔力高速循環による身体能力強化も魔法とは違うからできても、動けないから意味がない。
走馬灯…くっそここで終わりか…「あなたを異世界に…」「魔法を使う時、大切なのは」「全身の筋肉を使うんだ!」「この子の名前は戦の神…」
「久賀田庸介、いえ、アラン、アランという劇の観客は、私だけとは言っていませんよ」
「アレス…」
アランは、その神の名を唱えた
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