第10話 師匠

 それからはフォルティスさんに魔法を教えてもらっていた


「ウォーターボール」


「アラン君結構センスあるよ、魔法の習得も早いしイメージも悪くないどころか一級といっても過言じゃないよ」


 ほとんどアニメの魔法を使う瞬間をイメージしてるから意外とうまくいった


「初心者魔法の練習はもういいですか、師匠」


「師匠だなんて恥ずかしい、いつも通りフォルティスって呼んでよ」


「いや師匠だね、そこは譲れない」


「なんで急に…」


 どうやらマジで恥ずかしいようだ、まあ…それが師匠と呼ぶ一つの理由なんだが


「それより師匠、俺はやっぱり父さんが俺に実戦を積ませたい理由であんなことをするとは思えない、実戦を積ませたないなら魔物相手でもいい思うし」


「だけど、対人による経験は魔物じゃできないからね。でもレステル男爵が乗り気なのは驚いたかな」


 確かにレステル男爵はいかにも平和主義者としか思えない。帝国との戦争で戦争になる前に国王相手に話し合いで済ませようといった人だ。

 俺は前世で母が父と離婚するまで常に父の顔色をうかがってきたから分かる。レステル男爵は完全に疲れ切っているに人間だ。疲れ切っているというより諦めや呆れに近い


「ちょっと待ってwww」


「師匠どうしたの、急に笑い始めて」

 

 師匠は顔を手で隠してからだ震えるほど笑っている


「アラン君はダラスさんのことをどう思っている」


「俺を剣士にさせようとしてるおっさん」


「尊敬は」


「してない」


 尊敬なんてしない、今まで人生で俺と遊んでくれたのは村のガキどもや母さんで、父さんは無関心と思えるぐらいかかわっていなかった

 そのため


「よく知らない人間を尊敬するのは無理だろ」


「アハハハハハ!」


 さらに師匠は笑う


「いやwwもうさwwくだらなさすごてwww笑えて来るよw」


「どういうこと?」


「あのねアラン君、親というものは一度でもいいから自分の子から尊敬というか、なんというか、えっと…頼りにされたいというか」


 あほくさ、父さんはそんな親バカじゃない。本当に頼ってほしいなら初めから言う人だ、それに


「俺は父さんとつい最近まで会話なんかしたことなかったのに急に頼ってほしいなんて無理がある」


 父さんは基本的に転勤族というのだろうか、なんの仕事か知らないがよく出張にいく、母さんの話によれば農作物を荒らす魔物の退治だとか


「アラン君の気持ちも分かるよ。話したこともないのに急に頼ってくれなんて、さっきすれ違った他人に頼ってくれと言われているのと同じだからね」


「そう!そうなんだよ!赤の他人に急に「頼ってくれ」なんて言われてもう不審者というかそれに近いよ」


 前世のネット民でもそんなことはしないだろう。まあたまに理解できそうでできない文章を書きこむやつはいるが


「それよりいつアラン君が実戦をつまされるかだね、日にちがわからないとそれまでにアラン君を魔法使いとしてしっかり鍛えないとね」


「そうだな…だけど結構あからさまに誘ってくると思うぞ」


「どうしてそう思うの」


「実践ということは練習試合でも何か被害が出る可能性があるでしょ、なら被害を最小限に抑えるために村の外に連れてく思う」


 さすがに村のど真ん中で斬りあいをさせるわけないし


「確かにそうだね…ねぇアラン君、もし本当にその通りなら僕がギルマスに頼んで村に残っている冒険者を防衛に配置したのも無駄足というか、すごい損失になると思うんだけど」


「気にしたら負け」


「いや、だけど」


「気にしたら負け」





 五日後の早朝


「何だよ父さん…こんな朝早くに外に呼び出して…太陽がまぶしいったらありゃしない、マジでくだらないことだったら容赦しないよ」


「一度も勝ったこともないのに容赦できるのか」


「うるさい」


 朝から呼び出して…いま前世で言うなら四時だぞ、早朝どころか日の出の光だし


「なに、今日朝早くから呼び出したのはくだらないことではない」


「もったいぶってないで早くしろ」


「アラン、魔物を狩りに行くぞ」


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