幼少期
私は、小さい頃から母の顔色をうかがって生きてきた。友達と遊びの約束をしても、母が嫌そうな顔をすれば行かなかったし、好きな色、好きな服、好きな食べ物、全部母の言う通りにした。「あんたは可愛らしい服よりもシンプルなのが好きだもんね。」「ピンクや赤より水色や青の方が好きだもんね。」なんて言われる度に心の中では「違う」と叫んでいたが、それがずっと続くと、不思議なことに母の言うことが真実のように思えてきた。一種の暗示や洗脳のようなものだろう。母からの洗脳により、小学校にあがる頃には自分の考えなど分からなくなっていた。何を選ぶにしても母が何と言うかを考えていた。今更母にこんなことを訴えても信じてはくれないだろう。小さい子どもは大人の気持ちなど考えず、自分の好きなように生きていると思っているのかもしれないが、それは違うと私は言い切る。小さな子どもであろうと、親の考えは伝わっているし、むしろ親の方が子どものことを分かっていないだろう。私が幼稚園の頃虐められていたことに母は気付いているのだろうか。きっと気付いていないだろう。それでいて子の気持ちが分かる良い親のフリをしている。これほどまでに馬鹿らしいことはないだろう。子どものことを本気で分かろうとすることよりも、周りに、世間に、自分が良い親であると思われることに重きを置いているのだ。子どもの幸せよりも世間体。こんな人間が親になって良いわけがない。親になるのに試験があればいいのにと思う。無責任な親と不幸な子どもを生まないために。
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