第56話 朝の挨拶
マスコミが押し寄せて騒がしくなる前に、とっとと旅行へ行ってしまえ。
という事で、夏休みが入ってすぐの今日から未来達は三重県まで出かける事になっている。
未来が用意をすませてキャリーケースを引いて部屋を出ようとした所で、未来が借りている部屋へ妃子パパが訪ねて来た。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
未来が挨拶すると、妃子パパは笑顔で挨拶を返した。
「所で未来君、分かっているね? 旅行の間に一線を越えてはいけないよ? 君に許したのはお尻ぺんぺんまでだ」
妃子パパは人によっては腰を抜かしそうな威圧感の笑顔で話すが、ステータスの高い未来にはただの笑顔に感じられた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。護衛を通じて仲のいい友達程度には思ってくれてると思いますが、妃子先輩みたいな美人に僕が恋愛対象になるわけないじゃないですか。安心してください」
キッパリと言い切った未来に対して、妃子パパは眉尻を下げる
「この鈍感さは妃子に同情するな。家に来る覚悟さえあれば許すと発破をかけにきたのにそれ以前の問題のようだ。私に臆さない所までは満点なのに……」
そう未来に聞こえないような小さな声で呟いてため息を吐いた。
未来はその妃子パパの姿を不思議そうにみているので妃子パパは更に苦笑いである。
「未来くん、さっきのは冗談だ。どうせならこの旅行の間に妃子を落としてしまいなさい」
結局、妃子パパは娘が不憫に思えてしまい、少し協力するような言葉をかけた。
そうすると、未来は逆に初心な男子高校生らしくテンパったので、妃子パパはこちらの扱いが正解なのか? と自らの顎先を撫でた。
余り長くなっても、使用人寮の玄関前で待ち合わせている妃子、悠里、虹花の3人を待たせてしまうので玄関へ向かう。
「未来、おはよう! 楽しみね! でも、なんでパパが一緒なの?」
「未来くん、おはよう。パパさんもおはようございます」
「未来ん、パパさん、おはよー」
未来が玄関に着くと既に3人は待っていた。
「ハハハ、まあ良いじゃないか! 悠里ちゃん、虹花ちゃんおはよう」
妃子パパは笑って誤魔化すように挨拶をした。
その後は、黒田が運転してくれる車に乗り込んで新幹線に乗るために駅まで送ってもらい、楽しい夏休みの旅行が始まるのであった。
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