第55話 各国の行動
未来達が欅神楽の屋敷に避難する前、ランキングが発表された事で他の所でも色々な反応があった。
「うむ、我が国意外もちゃっかりと2度目のダンジョン探索はしているみたいですね。しかも、我々より成果を出しているようだが、どう思う?
「そうですね。考えられた事ではあります。しかし、
「日和未来か」
「はい。この人物は日本在住なのか、他国に移住していて他国の探索隊の一員なのか。今調べさせていますから待つしかありません。他国に渡っていない事を願うばかりです」
麻田の意見を聞いた人物は顎に手をやり「うむ」と頷いた。
麻田は防衛大臣、そして頷いた男が日本の総理大臣の河田であった。
そしてちょうど2人の話が途切れたタイミングで部屋をノックする音が聞こえた。
「三住です」
「入りたまえ」
麻田が訪問者に入室の許可を出す。
2人は、ダンジョンの生還者として、そして、バカをやらかした和久井の代わりとして三住をアドバイザーに選んだのであった。
和久井は同じ派閥の議員の息子であったのだが、先走った行動を起こされた為、きちんとした対策部署を用意して三住にそれなりの地位と権限を与え、他への牽制を測った。
三住を選んだのはダンジョン探索の成果、ステータスとスキルを見ての判断である。
対して呼ばれた三住はこれからの事について頭を悩ませていた。
自分達が手をこまねいたモンスターを簡単に倒した少年。今回のランキングで名前を知ったが日和
調べれば素性が分かるのは時間の問題だろうが、彼とは敵対してはいけないと少年を見たから分かる。
それに欅神楽議員の娘さんを助けに来たのだから今の所は味方と考えていいと思う。
下手な事をして敵対行動を取られてはまずい。
そう判断している三住は、どの程度を話して目の前にいる2人を納得させてこちら側に引き込むか、ステータスの上がった頭で悩み続けているのであった。
所変わってアメリカホワイトハウス。
こちらもランキングを確認して会議が開かれていた。
会議室のモニターにはダンジョンから戻った軍用犬達が持ち帰った映像が流されている。
『これが今回の映像です。マックス達には生存率を上げるために時間を区切って探索させています。徐々に探索範囲を広げていますが多くない犬達がやられました。問題は緑以外のモンスターだと思われます。特に危ないのはブルーとバイオレット。この2つのモンスターは犬達の攻撃が効きません』
犬達の攻撃といっても数匹の犬でモンスターの喉元を食いちぎる訳だが、これまでに死んだ犬は青や紫のモンスターに噛みついて歯が砕け、そのままモンスターにやられてしまったのをカメラが捉えている。
「しかし、今日出たランキングだと日本はそれを克服していそうだな。犬達よりランクが高い」
『上の2人はファーストダンジョンアタックの生存者の2人でしょう。その経験を元に何名か連れて探索しているようですが、マックス達よりランクが低い所を見ると慎重に行動しているか、それとも何人も死んでいるかでしょう』
アメリカ軍の将校が大統領や他の議員の質問に自分の予想を答えた。
『確かに、一理あるな』
その説明に大統領や議員は納得をした。
『それもマックス達の情報によって覆される日も近い。入り口で、グリーンのモンスターだけなら我々でもなんとかなるかと思われ、一度新人を使って試してみようかと思います。承認頂けますか?』
将校の提案に大統領は頷く。
アメリカのダンジョン探索は、少しずつ進んでいるのであった。
アフリカ、アフリカの大平原に1匹の雄のライオンが寝転んでいた。
本来群れで行動するはずのライオンだが、彼は1人である。
理由は、群れの仲間はモンスターによって殺されたからである。
彼の名前はカリマー。
コンクリートで閉ざされたダンジョンの門。
アフリカのコンクリートの質は悪く、ひび割れから侵入したライオンの群れがいた。
そしてモンスターと出くわし、群れは彼を除き全滅した。
それから、彼はダンジョンに近づかず、孤独の日々を過ごしている。
因みにその後、アフリカ政府がひび割れを発見して穴は塞がれている。
ライオンが侵入していた事をアフリカ政府は把握しておらず、今も定期的な観測の為に役人が訪れるだけのアフリカの門である。
この出来事が、これからのダンジョンにどう影響を与えるかは、誰も分からない。
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