第17話 未来の訓練
未来は改めてダンジョンに潜り始めると、日を追う事に以前のホブゴブリンの時と同じように出現するモンスターに色違いのゴブリンが混ざり始め、出現回数が増えていった。
死ぬ思いをした色違いのゴブリンとの戦闘も、一度戦った後は、数をこなせば慣れてくる物である。
また、色違いのゴブリンが普通に戦えるようになったのは、手に入れた《魔力(物攻)》による恩恵が大きかった。
この、いわばスキルと言える力はオートで発動する物であった。
未来の使う
その為、これまでの普通のモンスターの武器は、この前未来が色違いゴブリンにやられたように紙を裂くようにして切れてしまう。
相手の武器をダメにしてしまう為、これまでのように倒したモンスターの武器に交換はできないが、代わりに《魔力(物攻)》のおかげで武器が刃こぼれしなくなったので交換の必要もなくなっている。
今、未来が相対しているのは大きな両手持ちの剣を持ったホブゴブリンであった。
相手は何も考えずとも一撃でサクッと倒せるような相手なのだが、未来は相手を舐めず、一撃で倒せるような敵でも調子にならずに手順を踏んでたたかうように意識していた。
また新しい
とはいえ、普通に戦えばすぐに終わってしまう。未来は剣を左手で待つと、ホブゴブリンとの戦闘に入った。
見方によっては舐めプと言われそうだが、未来も色々考えてのやり方である。
ホフゴブリンの大きな剣が未来に振り下ろされるのを右手の甲で受け止めた。
戦闘練習は剣ですると一撃で相手の武器を壊してしまうので、未来は訓練としてこの方法を取っていた。
なぜ相手の武器を受け止められているかというと、新たに手に入れた《魔力(物防)》というスキルであった。
赤い色違いゴブリンとは別種の、新しい青い色違いゴブリンから手に入れた力である。
未来は初めのスキル持ちのモンスターが赤い色違いゴブリンで良かったと思っている。
青い色違いゴブリンは今未来がやっているように魔力で攻撃を弾いてしまい、先に手に入れた《魔力(物攻)》が無ければ攻撃が通らなかっただろう。
持っている武器は通常の物でも防御力以外の能力は普通のゴブリンと同じの為、互角の戦いにはなっていただろうが、相手に一切の攻撃が通らなければ、後はジリ貧である。
武器は撃ち合う程に劣化するので、いつかは壊れてしまう。
武器無しでゴブリンから退散できれば御の字、上手くいかなければアウトであっただろう。
勿論、青色のゴブリンと戦った時は赤色の色違いゴブリンで手に入れた《魔力(物攻)》があったので普通に戦えたのだが、倒した後、《
その為、今は余裕を持って逃げる練習もしている。
しばらくホブゴブリンと余裕を持って戦った後、最後は《魔力(物攻)》の力でホブゴブリンを殴り飛ばして仕留めた。
戦闘が終わったら時計を確認すると、そろそろ帰るにはいい時間である。
未来は最後に、撤退練習用のモンスターを探し始めた。
もし何かあった時に逃げられるように、次に現れたホブゴブリンを相手にしながらゲートまで撤退して、未来は今日のダンジョン探索を終えた。
ダンジョンを出て公園から家への帰り道、日が落ちて街灯が照らす静かな道で未来のスマホが音を立てた。
取り出したスマホの画面には母親からの電話の着信が表示されており、未来は応答の表示をタップして電話に出た。
「もしもし、お母さん遅くなっちゃってね、まだ寄れるならスーパーに寄って来てくれない?」
「ああ、大丈夫だよ。何買ってこればいいの?」
「えーっとね——」
未来の母親はスーパーの買い物を頼むと「未来のスマホにお金を送るわね」と言って電話を切った。
未来は電話が終わった後、スマホのQR決済のウォレットに母親からの振り込みがあったのを確認すると、頼まれた買い物をする為に最寄りのスーパーへと向かうのであった。
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