昔の短編集

@sternark

メロスは走ったが

ある男が邪智暴虐な王の怒りを買って処刑されることになった。

男は処刑を受け入れたが、妹の結婚式に出るため、三日間の猶予を願い出た。

王は男がそのまま逃げないように、男の親友を身代わりとして捕え、こう言った。

「お前の親友には遅効性の猛毒を飲ませた。

 体に毒が回りきるまでの猶予は三日。

 約束通り三日で戻ってくるならば、この解毒剤をやろう」

男は親友を救うため必死に走り続け、約束通り三日後に王宮に姿を現した。

「感動したぞ、約束を守るとは!

 わしも約束を守ろう、この解毒剤を受け取るがよい」

急いで親友に解毒剤を飲ませる男に、王は言った。

「その解毒剤は遅効性でな、体に回りきるまでに三日かかる」


(2014年08月08日22:59)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る