第4話 雨降り

 金曜の夜、かなり溜まった仕事を片付けていた。華金のはずが、ひとり寂しく残業である。


 23時には終了、職場を後にした。昼はおにぎり2つにお茶だけで、猛烈に空腹感を覚えていた。


 地元駅で下車。小雨が降っている。駅前のコンビニで食料を調達し、自宅に向かった。


 時計は23時35分、自宅まで徒歩で20分弱歩く。朝方は曇りで傘は持っていない。傘の購入も迷ったが、小雨なのでそのまま歩く。


 賑やかな駅前を抜けると、あとは一直線に続く暗い道を15分ほど歩く。道横に並ぶ畑と住宅も暗い道に黒い影のみ落としている。


 人影もない暗い道。中程にある畑を照らす電柱の弱い明かりが、小雨の中で煙っている。


 近づく電柱の影に白い人影、長い髪で顔は見えない、傘もささずさずに立っている。この深夜、雨の中·······


 『南無妙法蓮華経』必死に唱えながら横を通り抜ける。自宅に到着、玄関を塩で清め、熱いシャワーで恐怖を洗い流した。


 玄関に撒かれた清めの塩が、雨に溶けていく·······

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