20話 お忍びデート①
ロレッタ視点
クリフトと結婚した翌日、私は王宮にある中庭に向かった。
「お待たせ2人とも〜」
テラス席にはカトリーヌとバーバラが先に着いていた。あと白猫のシャーロットもいる。
『王妃になっても定期的に会ってお喋りがしたい』っと言ったら、2人とも喜んでくれた。今日は記念すべき第一回目のお茶会。バーバラはサンドイッチの入ったカゴを取り出すと、テーブルの上に並べた。
「ハタマ村の野菜を使ったサンドイッチよ。どうぞ召し上がれ」
「えっ、いいの?」
「ありがとうございます」
早速私たちは手に取って頬張った。うん、美味しい! どれも絶品だ!
「確かバーバラはハタマ村の領主になったんだよね?」
「えぇ、そうよ。とても光栄な事だわ!」
バーバラはニッコリと微笑むとサンドイッチを頬張った。ハタマ村に追放すると言われた時は散々嫌がっていたけれど、今では第二の故郷だと本人がよく言っている。
「カトリーヌは学校を卒業したら何をするの?」
「私? 私は魔法医療について専門的に勉強しようと思うの」
「魔法医療? カトリーヌにピッタリだね!」
治癒魔法が得意なカトリーヌならきっと無事に卒業できるはずだ。2人とも凄いな〜 それに比べて私は王妃として何をすればいいのかよく分かっていない……
こんな私が本当に王妃になってよかったのかな?
「ねぇ、それよりもいつの間にクリフト様と仲良くなっていたの? こっそりとデートをしてたの?」
バーバラは身を乗り出して興味津々な表情で尋ねてきた。
「えっ、デート? いや……まだだよ。だって、色々と忙しかったし……」
「じゃあ思い切って誘ってみたら?」
「ロレッタのお願いだったらクリフト様も喜んでくれると思いますよ!」
カトリーヌも目をキラキラ輝かせながら急かしてくる。そういえばクリフトと2人きりで出かけた事ってなかったわね……
「次の近況報告を楽しみにしているわ」
「ロレッタ、頑張って下さいね」
2人は面白そうに顔を合わせてニヤニヤと笑みを浮かべる。さては……人の事だからって楽しんでいるな?
「分かったわ。楽しみにしていて!」
強がって言ってみたけど、どうやって誘えばいいのだろう? 前世でも誰かと付き合った事なんてなかったし……やっぱり無理かも……
頬を赤らめて俯く私をみて2人はまた微笑む。
「安心しなさい。私が最高のデートプランを考えてあげるから」
その後はバーバラ先生による正しいデートの仕方をみっちり教わった。何だか上手くいきそう! 話が盛り上がりついつい声が大きくなる。そんな女子トークを1人の令嬢が盗み聞きしていた。
* * *
テスタ視点
「へぇ〜 クリフト様とデートねぇ〜」
テスタは悪そうな笑みを浮かべると舌を舐めまわした。人を見下す様な冷たい瞳に、無駄に豪華なドレスを着て、指には特大の宝石がついた指輪をはめている。一目で贅沢三昧をしているのが分かる。
(あんな見窄らしい女が王妃なんて信じられない! 私たち貴族は贅沢をすればいいのよ! 必要なお金は庶民の税金から使えばいい。足りなくなったら税を上げればいい。庶民は貴族に尽くすのが宿命よ!)
庶民なんて家畜と同で、牛からミルクを搾り取るように庶民からお金を搾り取ればいいのに……
私は心の中でロレッタを見下すと、ポンっと手を叩いた。
(そうだわ、クリフト様とのデートをメチャクチャにしてやろう! きっと王子はロレッタに幻滅するはず。そしたら空いた王妃の席に私が座ればいい!)
私は早速自分の部屋に戻ると、メイドを集めて入念な計画を企てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます