◆三番目に可愛いクラスメイトを彼女にする決意
三沢さんを家まで送った。姉ちゃんが、だけど。
「ありがとうございました、熊野先生。それと熊野くん」
挨拶を交わし、そして別れた。
車は再び走り出して、今度は家を目指す。
静かに車が移動する中、姉ちゃんが話しかけてきた。
「正時、三沢さんとはどこまでいったんだ?」
「え?」
「彼女なのか?」
「い、いきなり何を聞いてくるんだよ……!」
「だって気になるじゃないか。最近ずっと一緒に行動しているようだし」
「そ、それは……」
そうだけど、正直付き合っているかどうかで言えば――そういう関係ではない。でも、近い内に“恋人”になるはずだ。
「付き合っちゃえよ」
「いや……」
「ん? なにか問題でもあるのか?」
「そういえば姉ちゃんには言ってなかったかもな。明後日のマラソン大会で一番を取れたら、三沢さんと付き合えるって約束なんだよ」
「そういうことだったのか。なんと回りくどい」
苦笑する姉ちゃんは、自宅の前で車を止めた。
もう到着か。
「仕方ないだろ。それが条件なんだから。でも、俺は今全力で鍛えているし、負ける気もないよ」
「その意気だ。応援しているよ」
車から降りて自宅へ。
俺の気配を察したのか、じいちゃんが現れた。サメのような勢いで。
「正時! 遅かったではないか!」
「すまんすまん。事件があってさ」
「なにィ? 事件だと?」
じいちゃんに詳しいことを説明した。
「――というわけさ」
「なんだ。その安田というヤツが悪いのではないか!」
「ああ、だから後は警察に任せた」
「そうかそうか。ならいい。飯を作ってある、食べろ」
今日はじいちゃんが晩飯を作ってくれたようだ。ありがたい。
あとから姉ちゃんも戻って来て、みんなで食事を進めた。それから俺は風呂に入って、自分の部屋へ戻った。
スマホを覗くと三沢さんからメッセージが入っていた。
三沢さん:今日はありがとね
正時:いや、俺のほうこそ巻き込んでしまった
三沢さん:ううん、いいの。わたしも無関係ではないからね
正時:やっと三沢さんを守れた
三沢さん:カッコよかったよ、熊野くん。好き
……マジか!
そんな風に言ってくれるとは嬉しすぎた。マジで三沢さん天使すぎるッ。
正時:明日もよろしく!
三沢さん:朝また向かうね。じゃ、おやすみ
正時:ああ、おやすみ
明日もトレーニングだ。もうマラソンの日も近いからな。全力で鍛え上げ、一番を取り……三沢さんを彼女にする……!
◆
――ぱんぱんぱんッ!
――ぱんぱんぱんッ!
――ぱんぱんぱんッ!
古賀さん……。
瀬戸内さん……
二人とも寝取られ、裸で交わっていた。
「うあああああああああああああああああ!!」
飛び起きると、ベッドの上だった。
まただ。
また悪夢で目覚めた。
なんで、今更古賀さんと瀬戸内さんのあんなシーンを見てしまうんだ。もうどうでもいいのに……!
くそがあああああああああああ!!
この悪夢はいつまで続くんだ……チクショウ!
もう嫌だ。
寝取られたくない……!
三沢さんをなんとしてでも、彼女にする!!
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