学園祭
歴史ある男子高校の一つであり、日本の中で最も多くの東大生を輩出する名門中の名門である凪旗男子高等学校。
ここの学園祭は非常にユニークである。
普段はお堅く止まっているこの学校も学園祭の時だけは別。
先生たちも合わさって、全員でこれ以上ない大盛り上がりを見せる催しである。
どれだけすごいかというと、クッソ金持ちである学校の理事長がわざわざこの文化祭のためだけに国民的に広く知れわたる本当に上澄みのミュージシャンを呼んで生ライブをするほどである。
去年は最も著名な韓流アイドルがやってきた。
マジでビビったし、うちの理事長の金持ちぶりに心の底から震えた。
それでも女子に人気な韓流アイドルを男子校に連れてきたのはちょっと首をかしげたが……まぁ、めちゃくちゃ盛り上がったけどね。
「はぁー」
そんな文化祭。
楽しい楽しい文化祭……中学の頃から考えると四年目。
高校生としては初めての文化祭。
その準備段階、クラスの出し物を何にするかという会議のことを思い出した僕は心の底かため息を漏らす。
「……すぅ」
わかっていたことではある。
わかっていたことではあるのだ。
「はぁー」
僕は深呼吸をしながら自分の心を落ち着かせる。
そう、わかっていたじゃないか。
クラス全員どころか高校に関わるもの全員、理事長ですらTS化した今回の文化祭で自分が気まずいことになるなんて。
すっごい疎外感を感じることになるだろうっって……そう。
わかっていた、最初からわかっていたことじゃないか!
そうだろうっ!?
「すっげぇ、気まずいんですけどぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおっ!」
いや、ごめんっ!?
普通に自分の心にだけ留めておくなんて無理だっ!?
「ぬぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
キャッキャウフフと、精神までもうすっかりTS化したクラスメートたちがメイド喫茶やろう!などと言っている様子を思い出す僕は一人、屋上で心の底からの叫びをあげるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます