待ち合わせ
陽太からもらった水族館の割引チケット。
どうやら、商店街のガラガラで親が手に入れた二枚のチケットをもらったらしく、僕と一緒に行きたいからこちらへのプレゼントということだった。
久しぶりの水族館。
魚があまり好きではない蓮夜を除いて最も、仲の良い僕と一緒にどうしても水族館を楽しみたいという話だ。
「……まだ来ていないか」
陽太のお願い事を快諾した僕は次の土曜日。
待ち合わせ場所として設定していた場所へと十分前にたどり着いていた。
この場にはまだ、陽太の姿はない。
「待つか」
僕は待ち合わせの場所に置かれていたベンチに腰掛け、持ってきた本を取り出すのだった。
「はぁ……はぁ……はぁ……、ご、ごめん?待ったかな」
それから、待つこと十分。
自分が待っていた場所に陽太がやってくる。
「いや、今来たところだから大丈夫だよ」
僕は陽太とテンプレのような会話をこなしていく。
「だから焦らなくていいよ。そもそも待ち合わせ時間ぴったりだからね。大丈夫?」
僕はわざわざ走ってきた陽太に落ち着くよう声をかける。
「……ありがとう」
それを受け、陽太は自分の呼吸を整える。
「その服、似合っているね」
彼女が落ち着いたころ、僕は陽太の格好のほうに言及する。
今、陽太が着ているのはゆるふわなずいぶんと可愛らしい服だった。
陽太とよく似あっている。
「あ、ありがとう……」
僕の言葉を受けて、陽太はお礼の言葉を口にする。
彼女が女だというのなら、こうして格好について触れてあげるべきだろう。
「それじゃあ、行こうか。ごはんとかは先に何処かで食べていく?ここら辺だったら美味しいランチのお店知っているけど」
すでに時刻してはお昼近い。
ご飯の時刻と言っていいだろう。
「あっ、……うん。じゃあ、お昼ご飯はそこでお願いしようかな?」
それを踏まえての僕の提案に陽太がうなづく。
「わかった。それじゃあ、行こうか」
僕は陽太とともに前に行ったことのある喫茶店のほうに向かっていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます