第14話 日記

 自分から日記を書きはじめたのは、多感な中学生の頃でした。

 ごく普通の大学ノートを使って、しばらくの間、就職してからも書いていました。

 もう書くのをやめよう、書かなくてもいいかな。

 あるときそう思ったからやめたのだとは覚えていますが、その理由はもう思い出すことができません。


 家を離れるとき、この大量の日記も段ボールに詰めて持ってきました。


 内容はどちらかといえば、「今日、こんな良い事があった。明日も頑張ろう」というよりは、「あのとき本当はこういう気持ちだったのにー!キィー!!」と言いたくても言えなかった言葉を吐き出す場所であったように思います。

(誰にも見せられない、見て欲しくないものですね)


 その後、処分したので、今はありません。中身を読み返していると際限ないので、今までありがとうと感謝しつつ、そのままそっとサヨナラしました。


 最初から公開することを前提で書く場合を除き、日記はとても個人的なものですね。

 誰かに読んでもらうわけでもないのに、日記を書くのは何故でしょう。

 単なる日々の記録のため、というわけでもなさそうです。

(ダイエット日記、禁煙日記、等というのもありますが)


 誰にも見せない日記でも、たったひとりだけ読む相手が存在します。

 それは「もうひとりの自分」です。


 もしも読み返すことがあるなら、未来の自分へ。

 読み返すことがなかったとしても、今の自分へ。


 今日を振り返りながら日記を書いているときは、きっともうひとりの自分と対話してるのでしょう。そうして、自分に何かを伝えるために。











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