ハッピーエンド
どう考えても錯乱したように見える桃葉。
そんな彼女にタックルされて寝室に、そして、そのままベッドへと押し倒された僕は自分の上に覆いかぶさる桃葉を見ながら困惑の表情を浮かべる。
「何で?何で帰ってきたの?」
そんな僕へと桃葉が口を開く。
「え、えっ!?だ、だって……桃葉が、桃葉が僕の家って!」
す、捨てられるっ!?
そんな思いが飛来してくる僕は動揺の声を上げる。
「……だって、前世があるのでしょう?」
「うっ……」
僕は桃葉の言葉に言葉を詰まらせる。
「他にも知りあいがいるんでしょう?なら、私のことは要らないよね?」
「そ、そんなことないよっ!」
僕は桃葉の言葉を慌てて否定する。
「む、むしろ桃葉が僕のことを捨てようと……」
「私は捨てないっ!!!」
「なら、何で帰ってきた理由を聞くの!?怖いよぉ!」
「なんで私を捨てないのっ!?」
「いや、だって桃葉がいないと僕は会話もまともにできないし!」
「いや!あの人たちとは普通に会話していた!」
「いや、出来ていないのよぉ!?それは桃葉がいたからで、桃葉がいなくなったことに気づいた後は心の拠り所を失って会話できなかったがっ!?」
な、何で僕はこんな悲しいことを言わなきゃいけないんだっ!?
「捨てないでぇー!」
だけど、これが事実である!
悲しいけどぉ!
「……本当に、私がいないとダメ?」
「う、うん……」
何で桃葉がそんなことを聞いてくるのか。
色々なことをお世話になっている僕へと何故、そんなことを聞いているのか意味わからず困惑しながら答える。
「な、なら、私のこと好き?」
そんな僕へと、桃葉が急にダイレクトな疑問をたたきつけてくる。
「ふぇっ!?い、いや……それは」
何と……何と答えればいいのっ!?これっ!
普通に考えてみてっ!?
陰キャが可愛い女の子に優しくされて惚れないわけじゃないかっ!
で、でも……それをこのまま言ったら彼女からぁ。
「私は好き」
だが、そんな僕の迷いを断ち切るかのように桃葉ははっきりと断言する。
「はへ?」
いや、断ち切るというのは間違いか。
普通に僕の思考回路は停止した。
「私、かわいい女の子である咲良ちゃんが好き。そのおどおどとした内心も好き。毎日君を使って夜な夜な一人でしていたくらいに」
「……はへ?」
「ねぇ、貴方は、私のこと、好き?」
思考停止した僕へと、桃葉は耳元でささやいてくる。
「……う、うん」
そんな彼女を前に僕は頷くことしかできなかった。
いや、だって……普通に、桃葉のことは好きだったから。
ただの陰キャに彼女の魅力から逃れる術があるわけ……。
「~~っ!?」
そんな思いと共に答えた僕へと桃葉は急に抱き着き───そして、そのまま強引に僕の唇を奪ってくる。
「んっ……」
「んちゅ……ちゅ……」
どれだけの時が過ぎただろうか?
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「……」
長らく口づけを交わしていた果て、ようやく桃葉が開放してくれる。
「ねぇ」
僕と桃葉の口を繋ぐ艶めかしい唾液の線を断ち切るように、ゆっくりと彼女は口を開く。
「……本当に、私のことが好きなら、もう我慢しなくていいよね?」
言葉を響かせると共に、そっと。
彼女は僕の服へと触れる。
「……ど、どうぞ」
何をするのか。
ここまで来て察せないものはいないだろう。
その上で、僕は肯定の意を示す。
「ふ、ふふ、ふふふ……いただきまぁす」
そんな僕へと桃葉は覆いかぶさって絡みつき、ゆっくりと一つとなっていく。
ぐちゃぐちゃになった家の中に唯二人で───Fin
世界最強の底辺ダンジョン配信者、TS転生した後に配信した結果あまりの強さと可愛さに大バズりしてしまう リヒト @ninnjyasuraimu
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