ヤンデレ
私はレズだ。
生まれたときから女の子が好きだったし、正直に言って女として女子更衣室や女子トイレ、女子浴場に入れたのには罪悪感がありながらもどこか興奮を覚えている自分がいるのも確かだった。
別に同性愛者が差別されていると思ったことはない。
だけど、何となく私は自分がレズであることを打ち明けたことはなかった。
「……ぁあ」
そんな風に私が人生を歩んでいるときだった。彼女と出会ったのは。
『あれ?普通に人間だった』
今でも鮮明に思い出される。
まるで白馬の王女様のように私を助けにきてくれた彼女のことを。
「あぁ……」
本当に、本当に突然だった。
命尽きる寸前で助けられた私は彼女への強い印象を植え付けられてしまった。
「かわいい、本当にかわいい」
それだけじゃない。
彼女の見た目は本当に可愛らしかったし、私の好みの方にもど真ん中だった。
陰キャらしい性格にはギャップもあって素晴らしかった。
あぁ……本当に。
「……好きだよぉ?」
咲良ちゃんの顔も、中身も、本当に私は大好きなのだ。
「ごめんねぇ?咲良ちゃん」
私は自分の隣で眠っている咲良ちゃんの頭をなでながらつぶやく。
「つらい思いさせちゃって」
私は病気になんて罹っていない。ただの仮病だ。
これによって、ちょっとだけついてきた咲良ちゃんの自信。未だ一人では話せなかった彼女の心を先んじて折ることができる。
それに、咲良ちゃんが聞いた陰口というのも私が元より仕組んでいたものだ。
「……でも」
あぁ、私は本当にひどいことをしちゃったと思う。
でも、でも、でも……どうしても、私は咲良ちゃんを自分のものにしたかった。
自分に依存し続けてほしかったのだ。
「自分勝手でごめんね?咲良ちゃん……でも、私には貴方さえいれば十分だから。それ以上は何もいらないから。君に、私のすべてを上げるから……だから、だから、どうか許して。君を騙し続けることを、どうか許して」
咲良ちゃんのためなら何でも出来る。何でもしてあげられる。
「私が幸せにしてあげるから」
咲良ちゃんが何不自由なく暮らせるように。
彼女の果て無き承認欲求を満たせるように。
自分の持つ家柄も、自分の持つ配信者としての顔も、そのすべてを使って咲良ちゃんの願いを叶えてあげる。
「ずぅーと、ずぅーっと、一緒だから……絶対に、離さないから」
私は咲良ちゃんの頭をなで、彼女の匂いを鼻いっぱいに吸い込み、自分の体を彼女の手に擦り付ける。
それを私が満足するまで続けるのだった。
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