決意
朝食としてミノタウロスを狩り、その肉でステーキを作って食べたところから始まった僕の配信の中で。
「ぼ、僕は別に常識ないわけじゃないですよ?じょ、常識外の力は持っていると思いますがぁ。僕こそが世界で最強と言っても過言ではありません」
僕はコメント欄に寄せられているコメントたちを前に自信満々で語っていく。
下層の魔物を倒した程度でみんなから褒められる。
これがなんと嬉しいことだろうか。
前世とはCG乙とか、はいはい俺つええええええ!これで良いですか?とか、悲しいコメントしか来なかったのに……ふへへ、これが女の子の姿による力か。
僕は有頂天になりながらひたすらに鼻を伸ばしてく。
『コメント』
・でも友達いなそう。
だが、たった一つのコメント。
「……ぐふっ」
それによって僕は一瞬でノックアウトを食らった。
「おぉぉ……友達いないとか、友達いないとかぁぁぁぁぁ」
僕はその場で崩れ落ちながら泣き声を上げる。
『コメント』
・あっ……。
・やっぱり友達いない側の人間なのか。
・友達いないなら私が友達になってあげようか?
・大丈夫だ!三十年間ニートネット住人になってリアルの友達が0の俺もいるからな!
・あぁー、あ。誰だよ。この子泣かせたやつ。
・待って?一人大丈夫じゃないやついなかった?
誰が人生の中で友達が出来たことのない悲しい陰キャボッチだ。
良いだろう。チーズ牛丼を食べていても、初めてあれを食べたときの僕は本当に感動したのだぞ?その前の日も、その前の日も一切食べ物を口にしていない日に食べた料理だったこともあって。
「うぅ……」
別に良いのだ。
友達なんかいなくとも、僕は一人で生きていけるだけの圧倒的な力を持っている。
別に、友達なんか……、友達なんか……、友達なんか……。
うぅ……。
「……友達ほしい」
どれだけ強がっても、友達はほしい。
僕もみんなで遊びたい。ワイワイ言いながらゲームしてみたいし、旅行してみたい。カードゲームとか一人じゃなくてみんなでやりたい。
トランプを使って一人、いくつもデッキを作ってシュミレーションするのは虚しい。
ずっと一人ぼっちが嫌だ。
コメントをくれる視聴者から反応をもらえるだけでも嬉しいけど……やっぱり、どうしてもそれ以上を求めてしまう。
青春っぽいことをやっぱりしてみたい。一度で良いから。
『コメント』
・友達ほしいよなぁ、引きこもりのニートだけど友達とかほしいわ。
・ほ、ほら!元気出せって!
・う、うわぁ……。
・洒落にならないガチの凹みじゃん。これはキャラとかいう話じゃないわ。本気のやつ。
・わ、私が友達になってあげるよ!一緒に夢の国とか!
・ライナちゃんなんかはどう?
そんな中で、具体的な名前が飛んでくる。
「ライナちゃん……?あのパリピで陽キャみたな人が僕のような陰キャと……?」
見た目的に、彼女は圧倒的なパリピだった。
僕と友達になりそうな人間にはあまり見えなかった。
『コメント』
・確かに!ライナちゃんがいるじゃないか!
・そういえばライナちゃんで良いな。そもそもとしてナナシちゃんの始まりだし、完璧な相手でしょ。
・一番いい子いたじゃん。
・私じゃ駄目なの……?
・ライナちゃんの方も配信で友達になれたら良いねっていう話をしていたからね。お礼もしたいって。
・決まったな、ナナシちゃんの初コラボ相手が。
だが、コメント欄の雰囲気はいけそうだった。
行けるのか……?
行けてしまうのか。
え、えへへ……。
「い、いいですね……自分は命の恩人ですしぃ会いに行くのも。昨日は目と目を合わせましたし、今度はおしゃべりをしても」
僕は命の恩人である。
も、元々の好感度は高いはずだし、友達になってくれるかもだよね?うん。
それに、最悪のときはまた彼女が死にかけそうなタイミングでまた接触してみれば……。
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