箱の中身
ぱぷぅ
支度金という言葉を知っているか?
俺は理解できなかった。
異世界に召喚された、これはもう何十回も経験しているいつものことである。
魔王を倒せ、これも本物偽物違いはあれど最初によく言われる言葉である。
最初に渡されるのが伝説の武器だったり、至高の職人の最高傑作だったり、果ては某国民的RPGのようにはした金と棒きれだったこともある。
昨年の作曲に引き続き、キャラデザインまで亡くなってしまったのは涙が絶えない。
おっと、時事ネタは数年後意味不明になるからやめておこう。
いや、きっと十年経っても意味は通じるはず。
思わず現実逃避していたが、目の前には段ボール箱である。
異世界転移にありがちな中世的文化の世界に【
温州じゃないのか、
宝箱ですら無いその箱は、過去の勇者が残した至宝とやらだそうだ。
先代勇者も、先々代もこの中から一つ薄い紙の束を持って旅に出たらしい。
先代勇者も先々代勇者も馬鹿なのだろうか。
牛タン食べたい。
とりあえず言われたとおりに箱を開けてみる。
中にはたくさんの薄い本があった。
18禁のエロ同人である。
目の前にいるエロい人、いや偉い人が言うには、賢者になる神話級アイテムとのことだ。
バッカじゃねぇの!?
賢者の意味が違うだろ!
それがあれば紳士的に世界を救う理想の勇者になれる?
バッカじゃねぇの!?バッカじゃねぇの!?
大事な事なので何度でも何度でも立ち上がり叫ぶよ。
この
バッカじゃねぇの!?
俺は目の前の
召喚された都で宿をとって一泊したその翌日、速攻で魔王を探し出しデコピンで倒して自前の帰還魔法で日本に戻った。
世界は救われたのである。
あと、なんか魔法の魔力効率が上がってた気がするけど、最後の帰還魔法しか使ってないからよくわからなかった。
ステータスの称号欄に、昔取得した【賢者】と【森の賢者】の他に【けんじゃ?】が増えていたのはきっと気のせいである。
箱の中身 ぱぷぅ @papu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます