【KAC20243】What's in that Box

花沫雪月 (元:雪月)

What's in that Box

「何ですか?そのデカブツ……?」

「俺にもわからんなぁ……」


5度の大戦と核兵器の使用による放射能汚染により、人類はその総人口を最盛期の2割程にまで減らした。


生き残った人類はしかし、一部知識人の先見の明もあってか、一時地球を捨て、あらかじめ月や火星に備えてあった“疎開地”に避難した。


それから幾星霜、人類は地球への再移住計画の為

、その先遣隊として様々な分野に精通した者達が対汚染仕様の強化外骨格に全身を包みかつて“東京”と呼ばれた土地の捜索を行っていた。


「字がかすれて一部しか読めんが……たしかにboxとあるな。共通言語で“箱”か」

「ここは日本ではなかったですか?」

「かつては当たり前のように複数言語による表記がされていたそうだ」

「箱ということは何か入っているのでしょうか?」

「とりあえず拠点に持ち帰ろう。見たところは何か機械のようでもあるし文化屋か技術屋が判別してくれるだろう」


探索屋シーカー達はかつての都市の跡地を徘徊しながら汚染状況の確認や文化の残り香の捜索をしていた。

疎開時には最低限の人員と資源しかもちこめなかったからだ。


しばらく探索を行い、彼らは今日の“成果”を拠点に持ち帰ることにした。



「やっぱり紙媒体のものは風化して何も残っていないな」

「そっかぁ、コミックっていうのが残ってないか期待してたんだけどな」

「EMPで電子機器は軒並みダメになっているから、電子媒体の記録も何も残ってないよ」

「そっかぁ」


文化屋と技術屋達は探索屋が持ち帰った品々を吟味していたが、結果は芳しくなかった。


「おーい、除染が終わったよ、コイツを見てくれ!」

「うわ、でっかいなぁ……機械かな?」

「中身は……回転装置と増幅器に……円盤かな」

「直せそう?」

「構造は単純だし、半導体の類いもない。機構だけ代替品と入れ替えれば……いけるよ!」

「やったね!」



「たぶん直ったし電源も復旧した……どうやったら動くかな」

「ここに硬貨を入れるんじゃない?ほら、COINって」

「探索屋が拾ってきたのがあったよね、持ってきてよ、いくつか種類があるから全部ね」


再構築を終えたその“箱”に硬貨が投入される、そして……


「「あぁ…これはMUSICだ……」」



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