勇者に任命されて受け取った聖剣が呪われた魔剣だった話する?
ゴールドブック
第1話
パキーンッ!
軽快な音が洞窟の中で鳴り響くと同時に
「アーッ!またやりやがったなお前!!!」
男の怒鳴り声も聞こえる。
ここは聖剣が封印されていたダンジョンの1つである。
「これで何本目だよ!・・・いい加減にしろよお前」
最後の方は疲れた声になる。
今回で何本目になるか分からない聖剣を折られてしまった。
『私と言うものがありながら他の武器に浮気するなどあり得ません。ましてやこんな軟弱な刀身など言語道断です。まぁ、強度に関係無く却下ですが』
言うに事欠いてこの魔剣は・・・ぐぬぬぬぬ!
さて、何でこんな事をしているか説明しよう。魔王を倒す為には唯一魔王にダメージを与えられる聖剣が必須!
その為、勇者に任命された者は国王から聖剣を授与される。ただし、それだけでは聖剣が弱い為(攻撃力が足りない)授かった聖剣を元にダンジョンを踏破して聖剣を手に入れ、聖剣を強化して行くのだ。
まぁ、どう言う原理かは分からないが、ダンジョンで手に入れた聖剣は手持ちの聖剣と融合して強化されて行くらしい。
その為に苦労して聖剣が眠るダンジョンを巡っていると言うのに。
この魔剣は毎度毎度、手に入れた聖剣を爪楊枝でも折るかの如くポッキポキッと折ってくれちゃってまぁ・・・
そんな魔剣との出会いだが、正直言って忘れたい。どっか亜空間に放り投げて、この魔剣ごと捨ててやりたいわっ!※亜空間に捨てても戻って来ました(泣)
っと話を戻して、出会いだったな。
あれは魔王討伐の為に勇者が選別された時の事。各村や街で行われる選抜を勝ち抜いた者達が勇者として王城に集められ国王陛下から聖剣を授かるのだ。
と言っても俺が勝ち抜いた選抜は村だった為、そんなに質の良く無い、所謂投げ売り品の様に樽の中に入ってた数本の剣の中から無造作に掴まれた聖剣を渡されました。
その聖剣を受け取って城を出るまでは何事も無かったのに、出た瞬間
『問おう、汝が私のマスターです!!』
って言葉が脳内に直接送込まれて来てさ?
それだけでもビックリしてるのに『問おう』とか聞いておいて『私のマスターです!!』と言い切る当たり、質問になってないよね?というか拒否権無し!?
いや正直テンパってるけど、聖剣が語り掛けて来るなんて聞いた事が無い。なんか怖いから、ここは全力で否定させて貰おう!俺はNOと言える人間だ!
「いいえ、違います!マスター違いです!」
『マスターより承認の為の声聞を確認しました。これより私はマスターの魔剣です。尚、この契約は解除不可能の旨をお伝えしておきます。』
・・・
なんか勝手に承認されちゃったんですけどおぉぉぉぉぉ!?
ん?ちょっと待て。。。
今、魔剣って言った!? 負けん?魔犬??磨研???でもこれ国王陛下から貰った聖剣・・・
・・・
すいません皆様ちょっとだけ耳を塞いでいて下さい。
すぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
(#/`Д´)/ <俺の聖剣どこ行ったーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?)
取り乱しました。もう良いですよ。
まぁ、魔剣は良いとして、いや良くないな。
それはそれとして、その後だ。契約解除不可って言った!?
「そんな馬鹿な!クーリングオフはっ!?」
『どう言った意味かは分かりかねますが、そのようなモノはありません』
いや待て落ち着けー俺。今ならまだ取り替えて貰えるかも・・・
・・・(思考中)
あー・・・ガクッ!
王国側に言って取り替えてもらおうかと思ったけど、国王陛下が選んだ聖剣が実は魔剣だったと言ったところで
『国王陛下の名を穢そうとする逆賊め!』
なんて言われて牢に入れられたり、牢に入れられるならまだ良い方で、もしかしたら処刑される可能性もある。
無理だと判断しました。マダシニタクナイ。
それにしても魔剣かー、魔剣って言ったらあれだ。魔王が神の神兵や勇者を倒す為に作ったとされ、自分の幹部とか側近に持たせる武器の事だ。なので人間が持ったり使ったりすると、呪われて大変な事になるって言われている。
よって、こんな危ない武器は使えん!
仕方ないので、魔剣を使わない様に、代わりの剣や予備の武器を買った。
なーに、普通の武器でダンジョンを攻略して聖剣を手に入れればそれを基に強化出来るから大丈夫だ。まだ慌てる様な事ではない。さっきはほんのチョビィ〜〜〜っと動揺しただけだ、王国から貰った支度金もあるし、俺ならまだ立て直せる!
・・・
・・・・・・
そう思ってた時期が私にもありました。正直、魔剣の事舐めてました。
聞いてくれます???
宿で目覚めたら、寝てる間に代わりの剣も予備の武器(弓や槍など)は、全て叩き斬られてたり曲げられてたりで散々な状態になってた。(コイツ、自力で動けるの!?)
それと、特に剣系統だけは入念に破壊したのか、原形を留めていなかった。
何か怨みでもあんの???
いやそれにしても、あの・・・
投擲用のナイフとかまでボロボロにするの辞めてもらえます???
頭に来たので街のゴミ捨て場に魔剣を捨ててきたんだけど、なんと言うか予想通りと言うか、翌朝起きたら、泊まっている宿の部屋に戻って来てました。
魔剣曰く
『私を捨てるなんてとんでもない!』
だそうだ。
そんな事があったんだが、思い出したらなんか疲れたよ。
「ええいっ!もう次だ次っ!次の街に移動だっ!他のダンジョンに行って聖剣を手に入れるぞっ!」
『他の武器を手に入れるのは許せませんが[ダンジョンに行く=私を使う]という方程式は素晴らしいので賛成です』
「いいか?次の聖剣は壊すなよ?」
『保証できかねます』
「そこは保証しろよっ!」
こうして新たな聖剣を求めて移動を開始した。
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