第2話 魔法の食材


徳訓の願いを快く受けた少年は、名前をディーンと名乗った。ディーンに案内されて、徳訓は町の食材市場へと足を運んだ。


そこには見たこともない不思議な食材がずらりと並んでいた。緑色をした卵、茎から花が咲いている野菜、樹液のように透き通った液体など、地球の食材とは全く別のものばかりだった。


「これらはみんな魔法の食材なんだ。食べれば特別な効果があるんだよ」

ディーンはそう言って、徳訓に一つずつ食材の効能を教えていった。


「この緑の卵は、皮を剥いて口に入れると体が軽くなる魔力がある。でも長く効力が続くと逆に重くなっちゃうからご注意を」


「この光る液体は精神を高める効果があるらしい。でも飲み過ぎると気が狂うかもしれないぞ」


不思議な食材の効能に、徳訓は目を輝かせながらディーンの話に耳を傾けた。この世界には、調理する前から効能のある不思議な食材がたくさんあるようだった。


2人は市場で食材を購入し、早速ディーンの家に持ち帰った。徳訓はディーンから借りた台所に立ち、異世界の食材を使って料理に取りかかった。


しかし、なかなか上手くいかない。緑の卵を破ると体が軽くなりすぎて浮き上がってしまう。光る液体を火にかけると魔力に満ちた激しい煙が出て部屋が煙に包まれた。


「うーん...これが魔法の世界の料理なのか...」


徳訓は料理に四苦八苦しながらも、諦めずに挑戦を続けた。地球とはまるで異なる魔法の食材を前に、彼の料理人としての腕が試されていた。


そうしてディーンの指導を受けながら、徳訓は日々食材との格闘を繰り返していった。やがて少しずつコツを掴み始め、次第に魔法の料理に慣れていく。


それでも、まだまだ道半ばの修行の途中であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る