藤原徳訓の異世界料理旅

藤原徳訓

第1話 藤原徳訓の異世界料理旅

藤原徳訓は、東京の一流レストランの若き料理人だった。しかし、ある日突然の出来事に巻き込まれ、見知らぬ異世界へと転移してしまう。


目を覚ますと、そこは中世欧州を思わせる街並みであった。衣装も建物も馴染みのないものばかりだ。戸惑う徳訓に、通りがかりの少年が声をかける。


「おい、旅人よ。ここは魔法の国、アーレンハイムだ。無事に来られてよかったな」


少年の言葉から、ここが異世界であることを悟った徳訓は戸惑いを隠せない。しかし、空腹に強い衝動を感じ始める。


徳訓は少年に道案内されて町の料理店へと足を運んだ。しかし、出されたのは見たこともない異世界の食材を使った珍しい料理だった。


「この魔法の世界には、あなたの世界とは全く異なる食材がたくさんあるんだ。毒があるものもいれば、特殊な力を持つものもあるぞ」


少年はテーブルに並べられた、赤や青、黄色をした変わった形の食材を指し示しながら言った。一見して有毒そうな色どりの食べ物に、徳訓は戸惑いを隠せなかった。


しかし空腹感に負けて、徳訓はついに一口食べてみることにした。すると、次々と口の中に広がる新鮮で芳醇な味わいに、徳訓は思わず目を見張った。


「う、うまい!この味は一体...!?」


地球の食材とはまるで違う、奥深くてスパイシーな風味に酔いしれながら、徳訓は食べ進めていった。世界最高の料理人を目指してきた自分でさえ、こんな味に出会えるとは思ってもみなかった。


「どうだい?この世界の味は新鮮だろう?」


少年は嬉しそうに言った。徳訓はしばらく無言で食事を続けた後、ついに口を開いた。


「僕に...この世界の料理を教えてくれないか?きっとすばらしい味を作れるはずだ」


その言葉を合図に、徳訓の異世界での料理修行が始まろうとしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る