第7話 入学式
やっとの思いで着いた、2年1組の教室を前にして、皆いるかな、間に合ってるかな、一印象はどんなものになるだろう。
そんな気持ちを抱え、深呼吸をして、緊張しながら、ドアを開ける。
「すみません、遅れました」
へっぴり腰で会釈をしながら、そう呟く。当たり前のように皆に凝視されている、やらかした。
そう思っていたけど、現実はそうでもなかった。
「来ましたか、貴方の席はあちらですよ」
と先生は、特に何も言わずに、一番後ろの校庭側の空いてる席に手を向けた。その後、何事も無かったかのように、入学式の説明をツラツラ並べ始めた。
皆の視線に怯えながら席につく。
隣の席は友達で
「初日から遅刻はやばすぎでしょ」
なんて先生にバレない声量で、少し笑いながら言われた。
手をしっしっと、虫を払うようにして、黒板に目を戻した。
入学式での注意事項や、詳しい説明を聞いて、名前順に並び、体育館に向かう。今年は入学生じゃないけど、皆んなの表情を見るのは好き。
期待、緊張、高揚、不安、自信、絶望。
人間って、とても分かりやすいから、面白い。そんな分かりやすい表情を見るのが、私は好き。
今回も校長のながーい話を聞く、みんな欠伸をしていた。そんな私も寝そうになった、危ない危ないとすぐ意識を戻す。だけど退屈なのには変わりなかった。辺りを見回しても、暇そうにしている人が山ほどいて、目から溢れんばかりに欠伸による涙を浮かべていた。けど、あくまでも入学式なので、入学生達はすぐシャキンとしていた。
先輩達は……さあ?
それから校歌を歌ったり、入学生が一人一人呼ばれたり、入学生代表のお言葉や、生徒会長の言葉など、話が終わると一人ずつ、姿勢を正して、堂々と退場していった。
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