第3話 パズルのピース

ここに来たのは、丁度高校生になる前だった。中学卒業後、母と共に、海と山で挟まれている、云わば田舎に越してきた。引っ越してきたと言っても、母方のおじいちゃんおばあちゃんの家で暮らすという形。理由は、親の離婚。働かなくなった父に痺れを切らした母が、離婚を切り出して、ここにやってきた。母の様子を見る限り、他の理由もありそうだけれど、気にもならなかったし、深堀りするものでも無いと、聞こうとはしなかった。


 兎も角、離婚が理由で、ここに来たの。父と離れて清々したし、こんな空気が美味しくて、自然に恵まれていて、綺麗な海があるところに来られて、本当によかった。ただ、色々ありすぎて、記憶が曖昧なところがある。


中学の時の思い出は、覚えているところもあれば、忘れてしまっている部分もある。パズルのように、一つ一つ、丁寧に考え、はめていくも、無くしてしまったピースの部分は、空白のまま。探せばきっと見つかる。とは思うけど、アルバムを見てもダメだし、母に聞こうにも、それが悪い事だった時の母の顔を想像したら、とても聞けなかった。

良い事だとしたら


「記憶が、一部分ない」


と、病院で言った時に教えてくれていたはず。

なのに教えてくれないということは、きっと良い事では無い。

 

 

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