伝説の箱?

三国洋田

第1話 伝説の神極聖魔八大天光箱?

箱男はこおや」


「なんだじいちゃん?」


「この世にはな『神極聖魔八大天光箱しんごくせいまはちだいてんこうばこ』と呼ばれている伝説の箱があるのじゃ」


「そうなのか。確かに、伝説になりそうな大げさな名前だな。八大ということは、八個あるのか?」


「うむ、その通りじゃ。はこだけに、八個はっこあるのじゃ」


「くだらないダジャレだなぁ」


「と思わせておいて、実は五個しかないのじゃ」


「ええ…… なら、五大にしておけよ…… なんで八なんだよ?」


「そこは知らん」


「そうなのか……」


「もしかしたら、ダジャレのためかもしれんな」


「そんなバカな……」



「それで、それはどんなものなんだ?」


「ひとつ目は『混沌八様箱こんとんはちようばこ』という箱じゃ」


「また大層な名前だなぁ」


「これは中に、八個はっこはこが入っているのじゃ」


「またダジャレなのかよ…… それで、その箱には何が入っているんだ?」


「何も入っとらんぞ」


「なら、その箱には特殊な何かがあるのか?」


「いいや、普通の箱じゃぞ」


「ええ……」



「ふたつ目は『なんか臭い箱』という箱じゃ」


「一気に雑な名前になったなぁ……」


「これは名前通りなんか臭い箱じゃ。納豆とくさやを足したような臭いがするぞ」


「ええ……」


「要するに、これは発酵はっこう食品の臭いがするはこということじゃな」


「くだらなさすぎる……」



「三つ目は『キラキラぴかぴかペッカペッカ箱』という箱じゃ」


「ネーミングセンスなさすぎない?」


「これも名前通りのもので、はこ発光はっこうしているのじゃ」


「それもくだらないダジャレなのかよ……」



「四つ目は『超極薄幸福箱』という箱じゃ」


「また妙な名前だなぁ」


「これは幸が薄そうな見た目をした箱なのじゃ」


「どんな形なんだ? 想像も付かないぞ」


「要するに、これは薄幸はっこうそうなはこということじゃ」


「またくだらないダジャレなのか……」



「最後は『破刃箱はじんばこ』という箱じゃ」


「ハジンねぇ。どんなものなんだ?」


「この箱の中に刃物を入れると、刃こぼれしてしまうというものじゃ」


「なんだそれは、役に立たなさすぎる……」


「要するに、これはこぼれさせるはこということじゃな」


「結局、全部ダジャレなのかよ……」



「これらをすべて集めると『とてもすごい箱』という箱が現れるのじゃ」


「名前、雑すぎだろ。それで、それはどんな箱なんだ?」


「先程の箱すべての特徴を兼ね備えているのじゃ」


「それ、まったく役に立たないんじゃないか?」


「うむ、立たんな」


「なんでそんなものが伝説になるんだよ!?」


「それは不明じゃ」


「もしかして、あまりにも役に立たないからなのか!?」


「そうかもしれんな」



箱男はこおよ、神極聖魔八大天光箱しんごくせいまはちだいてんこうばこを集めに……」


「行かねぇよっ!?」


「うむ、行く必要はない。なにせ、うちの倉庫にあるからな」


「ええっ!? あるの!?」


「うむ、あるぞ。見たいなら探してみると良い」


「あ、ああ、分かったよ……」



「ところで、なんでそんなものがあるんだ?」


「わしらの先祖が集めたらしいぞ」


「そうなんだ…… そんなのわざわざ集めるなんて、うちの先祖、暇すぎだろ……」


「まったくじゃな」



 その後、ものすごく暇だったので、箱を見に行ってみた。


 だが、倉庫の扉を開けた瞬間、すさまじい悪臭がしたので中止した。


 めでたくなしめでたくなし。


 おしまい。

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伝説の箱? 三国洋田 @mikuni_youta

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