性的倒錯  蕎麦編

粗製フィーチャー

① コロッケかき蕎麦



チョッパッ…  フルル… ぢゅぉぞぞぞぞぞ〜… はふ、はう、フす〜 フす〜  



サッ…スカリッ  じょぽっ…








何故だか中性的、というより何方とも本当にわからない雰囲気をした 長い黒髪の美しい女が蕎麦を食う

その目は赤い




 



麺を汁から持ち上げ、何故か行う助走をつけるような上下の動きをやはり行う

勢いよく啜るが、口の容量がある程度圧迫されれば麺は啜れず

かと言って噛み切るわけでなく箸で残りを送り込み

一息

その後(のち) まだ硬い、しかし中央に汁が溜まり脆くなった掻き揚げを 片側持ち上げ頬張る

すかさず こちらは既に汁で崩れ出したコロッケの一欠を開いた口の隙間に啜り込む

ようやく噛む








あまり上品な食べ方とは言えない

かと言って、乗り換え待ちの男達の忙しなさも無い

だが不快感はない

潔くあるのだ






作法でなく、 美味さと速さへの追求








立喰蕎麦ならではの寛容さか

それともかけ蕎麦それ自体の持つものか







須く、文化である


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