幻実

@maruta1257

第1話 告白

私は高校3年生からある病気を抱えている。

それは身体的なものではない、精神的なものだ。

人の視線や、周りの意見を気にしがちな性格が災い、摂食障害と睡眠障害を患ってしまった。

そんな私も今では社会人4年目。仕事もほぼホワイトな企業に勤め、定時には仕事を終えて、帰宅後は趣味に勤しんでいる。

しかし毎日順調であるかと言われたらそうではない。少しのストレスや緊張から過食し、嘔吐したい衝動がいつも脳裏に潜んでいる。

大学生時代は、少し症状も落ち着いてはいたのだが、所謂「病んでしまう」事が時折あり、現在に至っては月に数回、食っては吐いてを繰り返してしまう。

精神科にも通った。カウンセリングも受けた。

だが、結果いつも、人は人の痛みなど理解できないなどといって、益々塞ぎ込んでしまう。

ある時医者はカウンセリングでは意味ないと判断し、薬を処方してくれた。

その薬を飲むと良く眠れるようになった。

疲労が軽減したと言われるとそうではない。

楽しかった出来事や、私の過ちで遠ざけてしまった人々、その時々で感じていた思いが夢となって現れている。

私はその夢に囚われるようになった。

現実というより、現在の自分を忘れられる気がして。

そしてある晩からずっと同じ夢を見ている。

同じと言ったら語弊があるかもしれない。夢が続いているのだ。

かつて本気で愛し、その癖自分勝手に傷つけて別れたあの子との続きの夢だ。

もう描かれることない2人の続きを、幻だけが魅せてくれる。

私はきっとこの夢を現実と捉え、また眠りにつくのだろう。

いつかまた会えたら、ごめんねと告げたい。

私はまた薬を服用し、今日もベットで眠る。



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