第47話 EP5 (16) 幸せなクレアの家族
後日クレアから聞いた話によると、クララは昔以上のバイタリティで先生の仕事をこなし、毎週末には山歩き隊を率いて弱った女性達を叱咤激励し、楽しく交流しているそうだ。
そして週に少なくとも三回は託児施設を訪問し、彼女の持つ育児技術を伝承していった。そこにはクラリスも預けられ、若すぎるクララおばあちゃんにあやしてもらっていた。
家でもクララは家事を完璧にこなした。妹のクロエはやることがなくなり、夫の家に戻ることにした。夫は大満足だったそうだ。クララは寂しくなることは無く、近所の方々と頻繁に往来し交流を深めるようになった。クロエの夫が言う。
「お義母さん、すごい元気になったんだね」
「元気過ぎるわ。見た目も母というよりは今や完全に姉ね。私より美人だし……ちぇっ。私もなんかしようかな~」
クロエの夫はそんな話を聞いて、娘に語り掛けた。
「お母さんが何かしたいってさ。じゃあクラリス、妹か弟作るか?」
「キャッ、キャッ」
クラリスは父と母の元で笑った。
「まだ、早いってば」
クロエが笑って答えた。
◇ ◇ ◇
ノースランド中央に向かって進むタートルの荷台の上では、またザックとクレアが喧嘩している。
「また、私のお菓子食べたでしょう、くそザックってば!」
「ふが、あにも食べてないよ」
「その口っ、入ってるじゃん!」
ザックに腕ひしぎ逆十字をかけるクレア。薬草ケースなどがとばっちりを受けないように大事に守るウォード。
ニーモがクレアにポツリと言った。
「クレアさん、ザックはクレアさんの体重が減るようにやってるんですよ。知ってました?」
「へ? 何それ」
クレアは狐につつまれたような顔をした。それに対してニーモがまた一言付け加える。
「おかげでそろそろ、クレアさんの体は私の施術が効果的に効くようになりましたけど、どうします?」
「何それ、何それ~。聞いてないよ~、本当? ザック」
「いでいで、本当だよ、早く技解いてくれえ」
「今できる? ニーモ」クレアは逆に技に力を入れる。
「いだい、いだい! なんでこっちを締める~」
「え、今? ここでですか?」
「その通り、今! ここで!」
「できますが~」ニーモが渋々答える。
「まじか~」とウォード。てぜまなタートルの上で施術なんて……
「痛いって(泣) クレアさん、もう許して」とザック。
「あ、ごめん」
ようやくクレアが技を緩めた。
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