　「お久しぶりです。お父様」

　お辞儀をし、目の前の人物と会話を交わす。

　「エレーナ、よくぞ戻ってきた」

　「はい、何事も無く終わりました」

　「…それで、その──」

　言いづらいのか、少し顔を少女から逸らしていた。

　「どうだったのだ？相手の方は（・・・・・）」

　「……」

　その言葉を聞いて、少女は下を向いてしまった。

　「ごめんなさいお父様、またダメでした（・・・・・・・）」

　「…そうか」

　二人の間に、沈黙の時間が流れる。

　「ま、まぁ仕方あるまい、なんせお前の体は……」

　「……」

　「その──……」

　上手く言葉が出て来なかった。

　どう励ますべきかわからないらしい。

　「失礼します」

　少女は頭を下げ、その場を去ろうとした。

　「ま、待てエレーナ！！」

　咄嗟に引き止めようとしたが、少女はそのまま歩みを進めてしまった。

　「…エレーナ」

　最後にそう言い残し、エレーナを見ながら、ただ呆然とするしかなかった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい